中国人犯罪者はなぜQRコードを狙うのか:世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)
中国でQRコードの利用が爆発的に増えている。欧米ではさほど普及していないのに、なぜ中国で広まっているのか。そこには火付け役とも言えるIT企業の存在が見え隠れする。
中国の都市部でQRコードが溢れている
そもそも中国でどれほどQRコードが普及しているのか見てみたい。まず中国の都市部はどこにいってもQRコードで溢れている。名刺交換のように使われたり、IDとして使われたり、ホテルの予約などでも広く活用されている。
中国でQRコードが導入されるようになったのは2010年のことだ。きっかけは日本や韓国で普及していたことが挙げられる。その後、携帯やスマホが急速に普及するのにともなって、スマホなどのモバイルグッズと実世界とをつなげる役割を果たした。これはいわゆる「O2O」(オンライン・ツー・オフラインの略で、「オンラインからオフラインへ」の意)のことだが、その手段として中国のモバイルユーザーたちに支持されたのがQRコードだったというわけだ。
またQRコードの普及に多大なる貢献をしたアプリが存在する。「WeChat」(中国名:微信)というメッセージングアプリだ。中国大手IT企業テンセント(中国名:騰訊)が提供するWeChatは、2012年からアプリにQRコードを標準装備した。
現在、中国のネット人口は7億3000万人以上。そのうちの95%以上はスマホからインターネットにアクセスしており、多くがWeChatを通してQRコードを活用している。WeChatに登録されているアカウント数は11億を超え、月間のアクティブユーザー数は7億6800万以上だ。とんでもない数の人たちがQRコードを利用できるようになったため、街のあちこちに四角形のコードが溢れることになった。
さらに現在では、WeChatなどのモバイル決算サービスで買い物をするのが普通になり、とんでもなく普及している。現金やカードを使わずに、請求書などにプリントされたQRコードを読み取って、銀行口座と連携している「WeChat Pay(支払い)」で支払いを済ませたり、逆にQRコードを店員に提示して支払いを行う。もちろんWeChat以外にもQRコードでのモバイル決算ができるアプリもあるが、WeChatはかなり人気で広く利用されている。
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