SBロボティクス、法人向けに「Pepper」会話を大幅強化:清掃用ロボにも参入
ソフトバンクロボティクスは、「Pepper for Biz」のビジネス活用を効率化するサービス「お仕事かんたん生成2.0」を11月30日にリリースする。小売、飲食、金融、病院――など10業種で使用する会話のテンプレートを、利用シーン別に計100パターン収録したという。
ソフトバンクロボティクスは、ロボット「Pepper」の法人向けモデル「Pepper for Biz」を無料でアップデートし、Pepperのビジネス活用を効率化するサービス「お仕事かんたん生成2.0」を11月30日にリリースすると発表した。小売、飲食、金融、病院――など10業種で使用する会話のテンプレートを、利用シーン別に計100パターン収録したという。
法人向けPepperは現在、店頭での受付業務などを中心に担っている。今回のアップデートで接客などにも対応し、「おすすめのランチセットを紹介しましょうか!紹介したくてうずうずしてたんです。おすすめは○○。お値段は980円です」――などと詳細な内容を発話できるようになる。導入企業は業務効率化や人件費削減につなげられるという。
他の会話テンプレートは、店舗での商品紹介、会員登録、クーポン配布、レクリエーション、受付、館内案内――など多岐にわたる。
ソフトバンクロボティクスの吉田健一事業推進本部長は、「アップデートによって、会話のパターンが増えただけでなく、機能面も充実した。会話時の反応がさらに早くなったほか、フレーズの抑揚など細かな設定も可能になった」と説明する。
日本マイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure(Azure)」との連携にも対応。クラウド上に会話履歴や接客データを集積し、Azureの人工知能(AI)APIで分析することで、会話内容の改善や新規ビジネスの創出につなげられるという。
「法人向けPepperは当初、客寄せ目的で使われていた。その後機能が進化し、受付業務の自動化に対応した。人工知能(AI)への対応は、その次の第3段階にあたる。データを活用することで、Pepperは新たな進化を遂げる」(吉田本部長)
米GoogleのAIや、日本アイ・ビー・エム(IBM)のコグニティブ・システム「Watson」とPepperの連携は、イオンモールなど一部の小売業者が既に導入。自然言語処理の技術を応用した顧客対応などに生かしているが、Azureへの対応によって顧客企業に提示する選択肢を拡充する。
さらなるサービスの充実に向け、ソフトバンクロボティクスは業界ごとに顧客企業のコミュニティーを設けて、状況をヒアリングしていくという。
日本マイクロソフトと共同でマーケティングにも注力し、Azure向けのPepper用アプリ開発を推進する「ロボアプリパートナー with Microsoft Azure」の認定企業を2018年10月までに30社に増やすとしている。
法人向け清掃用ロボットに参入
また、ソフトバンクロボティクスは同日、法人向け清掃用ロボットの分野に参入すると発表。10兆円規模のファンド「Softbank Vision Fund(SVF)」が出資するロボット用ソフトウェア開発の米Brainの自動運転技術「Brain OS」を搭載した床洗浄機を18年夏をめどに国内向けに発売する計画だ。
Brain OSは、最初に清掃エリアを手動運転すると、自動で地図を作製し、清掃ルートを記憶する機能を持つ。記憶後は機体のスタートボタンを押すだけで、各種センサーが周囲をスキャンし、人や障害物を避けながら自律的に清掃を行うという。
Brainのユージン・イジケヴィッチCEO(最高経営責任者)は「当社のサービスは、小さい子ども、酔っぱらい、“歩きスマホ”をしている人を避けながら、安全な清掃サービスを提供できる」と自信を見せる。
ソフトバンクロボティクスの担当者は「今回提供する法人向けロボットは、高品質なセンサーを多数搭載している点が特徴。アマノなど国内メーカーも同様の清掃ロボットを展開しているが、ルート運行の正確性で差別化を図りたい」と意気込む。
収益目標は未定だが、料金体系は月額課金制の採用を検討中。米国で提供中のサービスでは月額500ドル(約5万6000円)で展開しており、日本でも同程度の価格設定になる可能性が高いという。
ソフトバンクロボティクスグループの冨澤文秀社長は「日本を通じてロボットを世界に広めたいという強い思いを持っている。来たるべきシンギュラリティー(技術的特異点)に向け、今後も方向性が合った企業にSVF経由で投資していきたい」と話している。
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