家事代行サービスは「家事をしすぎている日本女性」を救えるか?:“家事代行のイマ”を聞く(2/3 ページ)
家事をしすぎている日本女性。家事の負担は社会進出が進む女性の“重石”となっている。対応策として期待されている「家事代行サービス」のイマをCaSyの加茂雄一CEOに聞いた。
「全然ダメで、うまく回りませんでした(苦笑)。家事代行サービスを利用することで、ようやく家族の時間を確保できるようになりました」と振り返る。しかし「料金が高い」「使い勝手があまりよくない」といった不満を抱くことがあったという。
自分たちが使いやすい家事代行サービスを作りたい――3人の“欲しいサービス”が一致し、テーマが決まった。13年7月に授業がスタートし、9月にクラスで発表。最高評価を獲得し、ベンチャーキャピタルから出資の声がかかった。そして翌1月、会社を設立。6月にはサービスを開始した。出会いから約半年のスピード起業だ。加茂さんが会計士、池田さんが大手SIerのエンジニア、胡桃沢さんが大手証券会社勤務と、3人の得意な分野が分かれていたこともプラスになったと加茂さんは話す。
「妻に反対されたらどうしようと思っていたのですが、起業について相談すると『いいんじゃない?』と。むしろサービス設計について意見をどんどん出してくれました。CaSyのサービスは、僕たち3人の考えが3割ぐらいで、残りの7割は各家庭の妻からの意見でできています」
「徹底的なシステム化」で実現した低コスト構造
CaSyが目指しているのは、「時間がなくて忙しい人をサポートすること」。できるだけ手間をかけずに使ってもらうために、料金を抑えつつ、Webサイトかスマホアプリだけで簡単に申し込めるようにした。電話をかけることなく申し込めるのは、日中仕事に追われているユーザーに好評だ。
もともとは共働きファミリーの利用を想定していたが、ふたを開けてみると1人暮らしの男女の利用も多かった。現状はファミリーが6割、1人暮らしが4割。一番申し込み多い層は、共働きで子どもが小さい30〜40代の女性だという。
「家事代行サービスの認知度は上がってきていますが、『料金が高いから、自分でやったほうがいい』と思われるのが1つの“壁”になっています。低料金を実現するために、低コスト構造を作ることが必要でした」
家事代行サービスは、実際に家事作業をするスタッフ以外にもコストがかかる。CaSyはシステムを構築することで、営業やマッチングをするために必要なスタッフ数を最小限にした。評価データやスタッフの日報などから、申し込み者に合ったスタッフをマッチングする仕組みだ。利用者が増えれば増えるほどデータは増えるので、精度は上がっていくのだという。
「家事代行業界は、システム化があまり進んでいませんでした。スタッフとお客さまとのマッチングを“人力”で行っているところがほとんどです。現場でのやりとりもノートなどでアナログ管理されているので、問題が起こったときに対処しづらいこともある。マッチングや評価をシステム化したり、メールを自動化したりすることで、社員1人あたり150人のスタッフをマネジメントできる低コスト構造を作りました」
スタッフの教育コストも、家事代行サービスにおいては負担が大きい。当初はシンプルなマッチングプラットフォームにすることも視野に入れたが、「『変な人が家に入ってくるのは不安』という妻の意見を取り入れました」という。しかし大きなコストはかけられなかったため、当初、面接や研修会場は加茂さんの自宅で行った。研修マニュアルも、登録したスタッフと一緒に作り上げていったという。
現在は教育も仕組み化。スタッフに10段階のランクを設定し、一定以上のランクになると面接や研修が担当できるようになっている。スタッフは面接や研修を一件担当するごとに報酬を得られ、管理側も教育のための専任スタッフを最小限にできるというメリットがある。
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