すぐに成果を求めてガチガチに管理するような新規事業は失敗する:エンジェル投資家・山口豪志氏に聞く(1/3 ページ)
ビジネス成長のために新規事業を立ち上げようとする会社は少なくない。しかし、成功よりも失敗する会社が多いのではないだろうか。それはなぜだろう?
特集:新しいビジネスの種はどこにある?
既存の事業が成熟期を迎えた企業がさらにビジネスを拡大するためには、ざっくり言って、海外など新しいマーケットを開拓するか、これまでとはまるで異なる新規事業を立ち上げるかの2つだ。実際、「新規事業開発室」といった名称の部署がある会社は少なくないが、必ずしも成果が出ているとは言い難い。それはなぜだろうか。本特集では新規事業が成功するための秘けつを探る。
ビジネスを伸ばすための手段として新規事業を立ち上げようとする会社は少なくない。しかし実態はどうだろうか? 恐らく成功よりも失敗のほうが多いのではないだろうか。それはなぜなのか。
トップ営業マンとして料理レシピサイトを運営するクックパッドの株式上場に貢献したほか、クラウドソーシング大手のランサーズの初期メンバーとして急成長を支え、その後もエンジェル投資家や起業支援といった活動の中で数々の会社の新たなビジネスを見てきた山口豪志氏に、新規事業の成功のポイントを聞いた。
マイクロマネジメントはやめよう
「主担当が明確で、しっかりと権限委譲されていること。その人の責任範囲の中で自由に取り組めているような新規事業はうまくいくことが多いです」と山口氏は話す。
主体的に立候補して担当になることもあれば、指名されて徐々に周りもその人を主役に立てることもあるが、いずれにせよ、会社からある程度の裁量を与えられた形で据えられていることが好ましいという。
そして一度その人に任せたならば、全幅の信頼を寄せ、周囲がとやかく口出しすることは不要だ。山口氏はある会社の失敗例を紹介する。
「あるベンチャーと大企業との合同プロジェクトがありました。すると大企業側の担当者の上司が進ちょく状況をこと細かく報告させたのです。いわゆるマイクロマネジメントというやつです。結果、報告業務などに追われ、当然プロジェクトはスムーズに進まず、わずか数カ月で頓挫してしまいました」
ガチガチに管理しようとせず、まずは担当者に任せてやってみようという気概がなければ、新規事業などとても立ち上がらないという典型例だという。やる前から「いくらもうかるの?」と目先の利益のことを言われすぎると、担当者は役割としての成果を出さねばということに終始してしまい、新規事業に向けたせっかくの助走が消えてしまう。
これにハッとした読者は多いはずだろう。皆さんの周りにもそんな失敗例がごろごろ転がっているかもしれない。
関連記事
- “優秀ではない”人が「ゼロイチ」に向いている理由
「優秀ではない人こそ、ゼロイチに向いている」――。そう語るのは「Pepper」の元開発リーダー、林要氏だ。林氏の考えるゼロイチを生み出すリーダーに求められる資質とは? - 急成長中の日本ワイン 礎を築いた先駆者たちの挑戦
日本で本格的なワイン造りが始まってから140年。いまや急成長を続ける「日本ワイン」はいかにして生まれ、発展してきたのだろうか。先人たちの苦闘と挑戦の歴史を追った。 - スーパーに産直売場 仕掛けたベンチャーの大変革がスゴイ
今、農産物直売所が好調で、市場規模は1兆円弱に達しているのをご存じだろうか。その一方で、従来のスーパーマーケットに対する消費者の不満は大きい。その穴を埋めるべく、あるベンチャーが仕掛けたのは……? - JINSが目指す、眼鏡で「認知症ゼロ社会」
「体の内側を知る」をコンセプトにジェイアイエヌが開発した眼鏡型ウェアラブル端末「JINS MEME」――。実はこのJINS MEMEが将来、認知症のない世界を実現するのかもしれないという。 - 「RIZAP ENGLISH」も結果にコミットします、どのように?
ITmedia ビジネスオンライン編集部が主催する勉強会「アクションシーダー学」を、6月28日に開催しました。パーソナルトレーニングジム「RIZAP(ライザップ)」を運営するライザップグループの瀬戸健社長を招き、同社が運営するさまざまな事業について語っていただきました。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.