調査リポート
国家公務員で「月100時間超」の残業が常態化、メンタル不調が多発か 慶大調査:霞が関に「デジタル変革」を(1/2 ページ)
国家公務員は、月平均100時間以上の残業をしている可能性があるという。慶應義塾大学大学院の岩本隆特任教授の聞き取り調査で判明した。「待ち時間」の発生を前提とした業務が残業を生んでいるという。
国家公務員は、一般就労者の約7倍に相当する月平均100時間以上の残業をしている可能性がある――。慶應義塾大学大学院 経営管理研究科の岩本隆特任教授がこんな研究レポートを発表した。
国家公務員の労働環境については、これまで中央省庁の労働組合がつくる「霞が関国家公務員労働組合共闘会議」や人事院が調査を実施。月平均残業時間は30時間程度との結果が出ていた。
だが岩本氏が、現役の国家公務員と国家公務員経験者の合計6人に改めてインタビューを行った結果、過労死ライン(月80時間)を超える月100時間以上の残業が常態化しているとの意見が出たという。
具体的な声は「月の平均残業時間は130〜140時間で、200時間を超えることもある」など。「若い職員の中には、月曜から金曜まで帰宅できず省庁で仮眠する者もいる」「土日いずれかに出勤する職員もかなりいる」などの指摘も出た。
国家公務員のメンタル不調も多発か
また岩本氏は、人事院と厚生労働省が過去に行った「働く人のメンタルヘルス」に関する調査結果を集計・比較した。
その結果、10万人に対する自殺者の比率は一般就労者が11.7%、国家公務員が16.4%。メンタル不調による休職者の比率は前者が0.4%、後者が1.2%。いずれも国家公務員の方が高いことが判明した。
インタビューでは「庁舎内診療所の精神科は、受診する職員が多く3週間先まで予約が取れない」との赤裸々な声も挙がった。
関連記事
- 加藤厚労相を直撃 「高プロの要件を変更する考えはない」
「働き方改革関連法案」が参議院本会議で審議入りした。働き方改革の責を担う加藤勝信厚生労働相に「働き方改革」の望ましい在り方など、今後の方向性を聞いた。 - 35歳でフリーライターになった元公務員が踏んだ「修羅場」
公務員の安定を捨てて独立する――。希望の道に進むのは素晴らしいことではあるものの、そのプロセスは決してバラ色ではない。独立を切り出したとき、妻や母、職場の上司など、「周囲」はどう反応したか。35歳で公務員を辞めてフリーライターになった小林義崇さんに、当時の苦悩を振り返ってもらった。 - 日本人は休み下手? 3割の人が「ゆっくり休むことに後ろめたさを感じる」
セイコーホールディングスは、6月10日の「時の記念日」に合わせ、「時間」についての調査結果を発表した。多くの日本人は休みの時間さえも急かされていることが分かったという。 - 残業手当はすぐになくしたほうがいい カルビー・松本会長
日本を代表する「プロ経営者」として、さまざまな経営改革を推進してきたカルビーの松本晃会長兼CEO。働き方改革にまつわる日本企業の問題点について、真っ先に「残業手当」を挙げる。 - 有給休暇の取得率、日本は2年連続最下位
日本の有給休暇の取得率は、世界30カ国の中で最も低かった――エクスペディア・ジャパン調べ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.