家電以外の商品を売り始めた家電量販店を悩ます「リベートの減少」:なぜかなくならない慣行(3/5 ページ)
家電量販店は少子化や家電市場の飽和を踏まえ、家電以外の商品の取り扱いを増やそうとしている。しかし、家電の販売額を減らすことは、リベートという収入の減少にもつながる。そもそもリベートとは何か? そしてなぜリベートという慣行が続いているのかを考察してみよう。
公正取引委員会が指摘したリベート問題
リベートに関して、興味深い資料がある。10年以上も前の資料で恐縮だが、04年9月24日付の、公正取引委員会の報告資料「家電製品の流通実態調査について」だ。この資料によると、当業界の年間リベート総額は次のとおりだ。
「取引(納入)価格の見直し(引下げ)のために支払われるリベート」: 2023億円
「取引先の各種要請に対応するために支払われるリベート」: 1041億円
「販売促進を目的としたリベート」: 470億円
「取引条件の改善等施策誘導のために支払われるリベート」: 366億円
これらの合計はなんと約3900億円にも上っている。当報告書は、協賛金の要請方法にも触れており、「口頭のみによる要請や、十分な説明がない場合、あるいは、取引実績に関係なく、一方的な金額を要請する場合などの事例もみられた」としている。
そして、「大手の家電量販店が、自社への納入依存度が高く、取引先を変更することが困難なメーカーに対して、いったん取引価格について合意しているにもかかわらず、さらに粗利補てんリベートなどの供与を求めることについては、その求める内容や要求の方法いかんによっては、独占禁止法上の問題『優越的地位の濫用(らんよう)』が生じるおそれがある」と注意を促していた。
これだけあったリベートの種類
なお、そのときに話題になったリベートは次のようなものだ。
一括仕入割戻: まとめて商品を購入した際に、お金を一部戻すこと
売場確保金: 特定のメーカーが売り場を使ってセールをするときに、場所を提供してもらった対価として支払うお金
販売研修補助金: 小売店の販売員が商品知識を学ぶための研修費用
販売員協力金: 小売店の販売員のモチベーションを高めるためのお金
他店追従値引き: ほかの店が自分の店舗より安く商品を販売していた時にその差額を支払うこと
運動部設立協賛金: 小売店の販売員が健康になるために、メーカーがスポンサーとして支払うお金
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