「何度失敗しても、私が前を向き続ける理由」 AKB48・岡田奈々の生きる道:アイドルというキャリア(1/5 ページ)
真っ直ぐに頑張っている人が報われるように――。こうした思いを持ち続けて、日々奮闘する女性がいる。アイドルグループ、AKB48の岡田奈々さんだ。彼女の人生を紐解いていく。
愚直に頑張り続ければ道は開ける。
夢は叶う。
誰しもが本心ではこのように生きたいと願っていることだろう。しかしながら、さまざまな人生経験をする中で、大きなカベにぶつかったり、現実を目の当たりにしたりして、次第にそうした気持ちが薄れてしまう人は少なくない。青臭いと思ったり、「夢と現実は違う」などと冷めてしまったりする人もいる。とりわけビジネスの世界ではこのような理想論が通じないことは往々にしてある。
しかし、だからと言って、そうした考えに縛られてしまうのは、果たして幸せなことなのだろうか?
「自分は真面目にやっていてもいつか必ずAKB48のてっぺんをとれると思っています。真っ直ぐに頑張っている人が報われるように、グループを変えていきたいです」――。
純粋にこうした思いを持ち続け、そしてまた、自らを奮い立たせるように何度も公言しながら、人生を歩んでいる女性がいる。アイドルグループ、AKB48の岡田奈々さん(21歳)だ。
岡田さんは周囲が一目置くほど「真面目」な性格で知られている。過去にテレビ番組でそれを検証するようなドッキリ企画も行われたほどだ。グループの風紀委員だと自他ともに認めているところもある。上述の言葉は、2017年に沖縄で開かれた「AKB48選抜総選挙」のスピーチの場で発されたものである。スキャンダルやおふざけなどで話題を集めているメンバーに対する痛烈な批判だった。
ここだけを切り取ると、ご存じない人にとって岡田さんはただの真面目キャラ、優等生キャラと映るだろう。しかし、彼女の本質はもっと深いところにある。考えや行動がブレずに一貫しているとともに、あらゆる仕事に対して手を抜かず、全力でがむしゃらに取り組む。こうした姿勢がAKB48グループの他のメンバーやファンの胸を打つ。握手会で一人だけ、一度も座ることなく10時間近く立ち続けてファンに対応したという逸話もある。スタッフからの支持も強い。それは単にアイドルという存在を超え、岡田奈々という一人の人間に対する尊敬の念だとも言える。
17年には姉妹グループであるSTU48のリーダーを任され、18年のAKB48世界選抜総選挙では、初の“神セブン”入りとなる5位を獲得した。
しかし、岡田さんのここまでの道のりは決して順風満帆ではない。いや、むしろ過酷な試練の連続だった。早くから抜擢され、シンデレラの階段を駆け上るも、選抜メンバーのレベルの高さという大きなカベにぶち当たり、なかなか思うようなパフォーマンスができずに悩んだ。自己嫌悪、自己否定などを繰り返すことで病を患い、AKB48グループを脱退することを本気で考えた時期もあった。18年には声帯結節の手術もした。それでもあきらめず、自分の思いを貫き通す。幾度となく困難を乗り越えていく岡田さんの生き方は、我々がこうありたいという姿と重ね合わせることができるだろう。
「いろいろな失敗をしながらも、めげずに、着実に進んでいくことが一番の成功の近道かなと信じています」と、岡田さんは澄んだ目でこう語る。
岡田奈々という女性はどのような人物なのだろうか。インタビューを敢行し、そこから彼女の仕事観や人生観などを紐解いていく。これは岡田さんのストーリーでありながら、悩みながらも未来を見据えて進もうとする多くの人たちの道しるべとなるはずだ。
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