辛くても諦めず 「キャプテン翼」高橋陽一さんの漫画家人生:シリーズ100巻突破(1/4 ページ)
日本のサッカー界に大きな影響を与えた少年漫画「キャプテン翼」。作品のテーマである、諦めずに夢を追い続けることは、作者である高橋陽一さんの漫画家人生そのものである。
今や世界中で愛読されているサッカー漫画「キャプテン翼」にこんなセリフがある。
「やらずに悔やむより、やってみて悔やむ」
中学生時代、主人公である大空翼の名パートナー、岬太郎がジュニアユース日本代表入りを迷いながらも決心した際、父親に「臆病になって全日本に入らずに、後になって入っておけばと悔やむより、入ってみてそこで失敗して悔やんだほうがいい」と告げ、後に父親がそれを回想したときのセリフだ。
思い切ってどんどん挑戦すること、決して諦めないこと、そして夢を追い続けること――。こうしたキャプテン翼の作品テーマは、作者である高橋陽一さんの漫画家人生そのものなのである。
漫画家を夢見た少年
キャプテン翼は、まだ日本にサッカーのプロリーグもない1981年に集英社の漫画雑誌「週刊少年ジャンプ」で連載が始まった。高橋さんは弱冠20歳。この漫画の登場によって、日本の多くの子どもたちがサッカーの楽しさやルールなどを知ることができたといっても過言ではない。実際、キャプテン翼を幼少時代に読んでサッカーが好きになったというプロサッカー選手が何人もいるのだ。日本のサッカー界の隆盛に大きく貢献した漫画として、誰もが認める存在なのである。
そんなキャプテン翼は2017年6月に発売した「キャプテン翼 ライジングサン」第6巻でシリーズ通算100巻を達成した。高橋さんが連載漫画家としてのキャリアをスタートしてから36年目のことである。
このことについて高橋さん本人は「こんなに長く続くとはデビュー時には思ってもみなかった」と謙虚。ただ、子どものころから絵を描くことや漫画を読むことが好きで、職業として漫画家になることを夢見ていた。「自分が好きなことを仕事にできただけで幸せ。さらにここまで長くやらせてもらっているわけで、まさに天職です」とかみしめる。たまに満員電車に乗ると、サラリーマンの道を選ばなくて本当に良かったと実感するそうだ。
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