辛くても諦めず 「キャプテン翼」高橋陽一さんの漫画家人生:シリーズ100巻突破(2/4 ページ)
日本のサッカー界に大きな影響を与えた少年漫画「キャプテン翼」。作品のテーマである、諦めずに夢を追い続けることは、作者である高橋陽一さんの漫画家人生そのものである。
這い上がり、次を目指す
漫画家という仕事を35年以上も続けることができた秘けつは何だろうか。
1つに体力を挙げる。週刊連載を続けるのは体力勝負。元々、体が丈夫だったことに加えて、休みの日は野球やテニスといったスポーツを楽しみながら体力作りをしていた。今でもスポーツは欠かさず、パデルというスペイン発祥のラケット競技と、サッカーボールをゴルフ場で蹴るフットゴルフにはまっているそうだ。
ただ、週刊誌の漫画家はとても休みなど取れないと聞く。これに対して高橋さんは「昔は週休3日だった」という驚きの回答。
「僕はネームなどの作業が早い方なので、当時は4日で仕事を終えて、3日遊ぶという生活スタイルでした。20代で体力もあったので、そんなに週刊連載がきついなとは思いませんでした」
精神力の強さも高橋さんの武器である。漫画家にとって最も辛いのは連載の打ち切りだ。かくいう高橋さんも何度かその憂き目に遭う。「(94〜97年連載の)『キャプテン翼 ワールドユース編』は途中で打ち切られてしまったので、そのときは一番辛かったです」と高橋さんは振り返る。ただし、たとえ落ち込んでも、這い上がってやろう、次は頑張ろうという前向きな気持ちがあるのだという。
「その前の作品である『エース!』(89〜91年)や『CHIBI』(92〜93年)も、人気が下がって基本は打ち切り。けれども、漫画家は実力の世界なので仕方ないし、そこでもう駄目だとあきらめず、次の作品で盛り返してやろうという気力が湧いてくるのです。それが今でもこの仕事を続けられている理由だと思います」
また、自身を楽観的な性格だと語り、ほかの人より立ち直るのが早いことも大きいとしている。
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