AIはどこまで「判断」できるのか 安心なこと、不安なこと:見逃せない問題点(1/5 ページ)
AIの開発が進めば、人間はさまざまな労働から解放されて、便利な世の中になると言われている。では、近い将来、高度な判断力を要する業務もAIが行うようになるのだろうか。AIが得意なこと、不得意なことを考えてみると……。
AI(人工知能)がブームになっています。筆者は人工知能の専門家ではありませんが、意思決定という側面からAIについて考えてみます。
今後、人間のように考えて行動できるAIの開発が進めば、人間はさまざまな労働から解放されたり、より便利な生活を送ったりできると期待されています。その一方で、「AIは人間が行ってきた仕事を代わりに担うから、失業する人が増えるはず」と危惧する声もあがっています。
では、近い将来、高度な判断力を要する業務、つまり意思決定が必要な仕事もAIが行うようになるのでしょうか? AIは判断や決断といった役割をになえるのでしょうか?
普及するのは特化型AI
AIは、用途にもとづいて「特化型AI」と「汎用型AI」の2種類に分けることができます。特化型AIは、自動運転技術や画像認識、将棋、チェスなど、特定の決まった作業を行うためのものです。現在実用化されているほとんどのAIがこれに該当します。
特化型AIの分野では、自動車の運転や書類のチェックなど、これまで人間が判断していた業務をAIに任せればよい時代が到来すると思われます。
そうした仕事の典型が銀行の融資業務です。融資の可否の判断がかなり複雑であっても、定められたルールと情報を入力すれば、本人確認も、融資の可能性も、人間がやるより確実に速く診断し、結果を導き出すわけですから、銀行の融資部門は近い将来、AIにとって代わられる可能性が高いでしょう。
一方、汎用型AIは、特定の作業・領域に限定せず、人間と同様かそれ以上の能力を発揮するものを指します。イメージとしては、自分で考えて自律して行動する生命に近いロボットのようなものです。
しかし、人間のように万能な汎用型AIは、今のところ実現が難しいと考えられています。そのため今後、実用化がさらに進んでいくのは特化型AIの分野でしょう。
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