社会人にとって「ほどよい残業」は月10〜15時間 過去30年間で微減、働き方改革効果か:ほどよい電話時間は増加
平成の始めと終わりで、働く人の時間に対する感覚はどう変わったのか。シチズン時計が調査結果を発表した。現代の社会人にとって「ほどよい残業」は月10〜15時間であり、平成元年から微減していることが分かった。
平成の始めと終わりで、働く人の時間に対する感覚はどう変わったのか? シチズン時計の調査によると、平成30年に社会人が「ほどよい」と感じる月間残業時間は、男性が15時間5分、女性が10時間12分だった。一方、平成元年の調査では、男性は20時間29分、女性は10時間11分という結果が出ており、男性が最適と考える残業時間が30年間で5時間ほど減っていることが分かった。
同社は「平成元年と言えばまだバブル経済の真っただ中。バブル崩壊とその後の経済不況やリーマンショックを経験し、働き方改革に取り組む現在では、意識が変わるのも当然」とみている。
社会人にとってほどよい社内会議の時間は、平成30年は男性が41分、女性が39分。平成元年の結果(男性:1時間16分、女性:1時間10分)から大きく減少した。「この30年は、インターネットが登場したことで急速に社会がIT化し、仕事の効率化が進んだ。そのため“長い会議は無駄”という意識が浸透した」という。
メール・チャットが発達したのに、電話時間が増加
一方、ほどよい仕事上の電話時間は、平成30年は男性が1回当たり5分58秒、女性が4分52秒。メールやチャットツールが発達したにもかかわらず、平成元年の結果(男性:2分59秒、女性:3分5秒)から増えていた。
同社は「メールが登場していなかった30年前、相手とのコミュニケーションは電話が必須で、1日に何度も電話でやりとりしていた。だからこそ、時間的にはなるべく短く済ませるという意識だったのかもしれない」と分析。
「一方で、現在はメールが主流になり、電話は大幅に減った。しかし、相手と直接細かいコミュニケーションが取れるのが電話の利点。回数が少ないからこそ、ある程度時間をかけたい、という意識なのだろうか」とみている。
平日に家族と過ごしたい時間は増加
調査では、プライベートでの時間感覚の変化についても聞いた。その結果、平日に家族と過ごすほどよい団らん時間は、平成30年は男性が1時間48分、女性が1時間49分だった。一方、平成元年は男性が1時間39分、女性が1時間37分という結果で、過去30年間で微増していた。
同社は「バブル崩壊やリーマンショックといった経済環境の大きな変化や、東日本大震災などの大きな自然災害の発生が社会に与えた影響は大きく、仕事一辺倒ではなく、家族との時間を大事にする意識が日本人に広がったことの現れかもしれない」とみている。
調査は2018年9月25〜26日にかけて、20〜40代のビジネスパーソン400人を対象に、インターネット上で実施した。
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