本の販売は苦戦しているのに、入場料1500円の書店が好調なワケ:水曜インタビュー劇場(入場制限公演)(1/6 ページ)
東京六本木に、ちょっとユニークな書店が登場した。入場料1500円を支払わなければ、本を見ることも、購入することもできないのだ。店名は「文喫」。店内はどのような様子なのかというと……。
2018年12月。閉店した青山ブックセンターの跡地に、ちょっとユニークな書店が誕生した。なにがユニークかというと、入場料1500円(税別)を支払わなければ、店内の棚に並んでいる本を見ることも、購入することもできないのだ。
「なんだよ入場料って。美術館や博物館じゃあるまいし」と思われたかもしれないが、きちんとした書店である。本を予約することもできるし、定期購読をすることもできる。店名は「文喫(ぶんきつ)」(運営:リブロプラス)。行ったことがない、見たこともない、聞いたこともないという人のために、店内の様子を簡単に紹介しよう。
販売している書籍は約3万冊。雑誌が並んでいるエントランス部分は無料だが、その先は有料となる。入場時にバッジが手渡され、そこに記載されているパスワードを入力すればWi-Fiを利用できるので、ここでちょっとした仕事もできそうである。
階段をあがると、いくつかの棚が見えてきて、そこに本がズラリと並んでいる。「日本文学」「アート」「デザイン」などジャンル別に分類されているが、1タイトル1冊しか置いていない。特に目を引くのは、平積みである。平積みといえば、同じ本を積み重ねているものだが、ここは違う。1タイトル1冊しかないので、さまざまなジャンルの本が置かれているのだ。例えば、猫の本を手にとると、次に建物の本、その次に恋愛の本といった感じで。まるで宝探しのように、偶然の一冊を見つけることができるかもしれない。
喫茶室では飲食を楽しむことができ、コーヒーと煎茶はおかわり自由である。営業時間中(午前9時〜午後11時)は何時間でも滞在することができるので、一日中どっぷりと本の世界に浸ることができるのだ。
本好きの人には、たまらないスポットが生まれたわけだが、気になることがある。出版科学研究所のデータを見ると、紙の出版販売額は14年連続で減少している。右肩下がりが続いているのにもかかわらず、なぜ入場料が必要な書店をオープンしたのか。ぶっちゃけ、本は売れているのか。「文喫」プロジェクトのリーダーを務める、日本出版販売の武田建悟さんに話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。
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