券売機を置かないすき家が下した「セミセルフレジ」という決断:ビジネスモデルと密接に関係(2/3 ページ)
すき家が「セミセルフレジ」の導入を進めている。19年3月末時点で約400店舗に設置済みで全店への展開を目指す。新型レジの選定にはすき家のビジネスモデルが密接に関係している。
接客用語も短縮された
セミセルフレジの導入は店舗運営にもメリットがある。
まず、従来のものと比べてレジの操作がシンプルになったので、店で働き始めた新人がより早く戦力となる。つり銭をレジから取り出して渡す必要がないので、数え間違いの心配もなくなる。
お客からお金を直接受け取ったあとの「1000円お預かります。ありがとうございます」「900円のお返しです」といった接客用語を覚える必要がなくなったため、教育コストも微量だが減少する。
すき家の広報担当者によると、レジ業務の負担を減らすことで、商品提供のスピードアップといったサービス水準を向上させられるという。サービスが向上すれば来店するお客が増えるので、売り上げアップが見込めるというわけだ。
すき家はなぜ券売機を置かないのか
人手不足時代に生産性を向上させるツールとしては、券売機が挙げられる。なぜ、すき家は券売機を導入しないのか。すき家の主力である郊外の店舗には家族連れのお客が多く来店し、メニューを見ながらわいわい相談して注文する商品を決めている。このターゲットの満足度を上げるには、店員がテーブルまで行って接客したほうがいいという判断をしている。また、券売機導入のデメリットとして、追加のオーダーが取りにくいという点が挙げられるが、店員が接客するスタイルならば追加のデザートやドリンクの注文もとりやすい。
すき家にとっては、この基本となる「フォーマット」を崩さずに生産性を上げる取り組みが求められていた。こういった背景があって、セミセルフレジの導入が決まったのである。
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