豊洲市場の吉野家が面白い 「時給1500円」に「超少ないメニュー数」:ここにしかない要素が満載(1/5 ページ)
2018年10月に吉野家の1号店は築地から豊洲市場に移転した。他店とは違うユニークな運営がされている。創業精神を受け継ぐお店に行ってみた。
「あ、吉野家の1号店だ」
ここは豊洲市場(東京都江東区)内にある吉野家の豊洲市場店。店の前を通り過ぎた観光客らしき男性はこのようにつぶやいた。
2018年10月11日の豊洲市場開場にあわせ、築地市場内で営業していた吉野家の1号店が移転してきた。移転から半年以上が経過しているが、客層やオペレーションでどんな違いがあるのだろうか。実は、同店は他の吉野家ではあまりみられないユニークな運営をしているのだ。
吉野家1号店の歴史
まず、吉野家の歴史と1号店の概要について解説しよう。
吉野家が創業したのは1899年。当時、東京・日本橋では多くの職人たちが魚市場で働いていた。職人たちは多忙だったため、まともに食事をする時間をとることができなかった。また、大変な重労働だったことから、短い時間でお腹がいっぱいになる食事が求められていた。そこで、吉野家の創業者である松田栄吉氏は当時普及しつつあった「牛めし」に着目。出身地の大阪・吉野町にちなんで「吉野家」という屋号の牛丼店を開店した。
1923年に発生した関東大震災の影響で、魚市場は築地に移転した。それに伴い、吉野家も築地に引っ越しをすることになった。当時、店内のカウンターの後ろをお客が2〜3重に取り囲み、牛丼が提供される順番を待っていたほどの繁盛ぶりだったという。
2代目として店を継いでいた松田瑞穂氏は、58年、株式会社吉野家を設立し、牛丼のチェーン化を推進しはじめる。メニューを牛丼単品に絞り込み、接客、調理、盛り付けなどを工夫した。吉野家の原型はこのときに形成されたという(参照元:吉野家公式Webサイト「牛丼100年ストーリー」)。
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