エンタープライズ:ニュース 2003/05/23 18:38:00 更新


IBM Software World直前レポート:第5回 e-ビジネス・オンデマンドを支えるTivoli

IBMソフトウェアの縁の下の力持ち的存在がTivoliだ。ほかのブランドと連携を図りながら、セキュリティやオートノミック機能を含む効率的な運用という側面から各ミドルウェア製品を補完する役割を担っているからだ。

 IBMソフトウェアの4ブランド(ラショナルソフトウェアを加えれば5ブランド)のうち、チボリが縁の下の力持ちに最も近い存在といえるだろう。アプリケーションを統合する「WebSphere」、情報を統合する「DB2」、コラボレーションの「Lotus」、ビジュアルモデリング開発の「Rational」と連携を図りながら、セキュリティやオートノミック機能を含む効率的な運用という側面から各ミドルウェア製品を補完する役割を担っているからだ。

 また、ひとくちに「Tivoli」製品といってもその製品は多岐に渡る。一般のユーザーや、ビジネスマネジャーからは見えにくい存在であるうえ、国産コンピュータメーカーが存在する日本の市場では、システムインテグレーションの段階で、例えば、ジョブスケジューリングのような管理ツールは彼らが組み込んで納入するケースが多い。

 このため、日本IBMソフトウェアグループのTivoli部門では、「ユーザー」「ITリソース」、そして「ビジネスプロセス」でトライアングルをつくり、例えば、ユーザーとITリソースが連携するアイデンティティマネジメントのように、それぞれの要素が連携する領域に製品を投入し、売り込んでいくことにしたという。

「4月に発表したTivoli Identity Manager V4.4によって、ユーザー、ITリソース、そしてビジネスプロセスのトライアングルが完成した。これなら売りやすい」と話すのは、この春からTivoli事業部長に就任した石原明氏。

 IBMのユーザーでありながらTivoli製品を使っていない顧客にアプローチするのはもちろんだが、オープンさを武器にNEC、富士通、日立製作所といった国産メーカーにもパートナーとして販売してもらえるような施策を打っていくという。

 幸い、オープン化の流れと、経済低迷によるプレッシャーから、国産メーカーもかつてほど自社製品にこだわらず、顧客が望む製品を提供する傾向が強まっている。

 前職は営業の第一線だったという石原氏は、「かつて競合だったメーカーも自社製品にこだわっていない。だとすれば、TivoliでもLotusでもパートナーになってもらえるはずだ」と話す。実際、日本IBMが5月27日から開催する「IBM Software World & developerWorks Live!」にも、主要メーカーがスポンサーとして参加する。

「昔であれば、だれが競合他社のイベントに顧客を連れて行っただろうか」と石原氏は振り返る。

 昨年までは、Planet Tivoliとして単独のカンファレンスを開催してきたTivoli部門だが、初日の27日午後に「Tivoli Day」を開催するほか、有償の「IBM developerWorks Live! with WebSphere 2003」では、技術者向けのセッションも用意する。29日の「エンタープライズ環境での統合ID管理」は、Tivoli Identity Managerがより具体的に解説されるという。

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関連リンク
▼IBM Software World 2003 & IBM developerWorks Live! with WebSphere 2003

[浅井英二,ITmedia]