エンタープライズ:ニュース 2003/05/28 00:09:00 更新


Tivoli Day、DB利用の優位さを示すストレージソリューション

Tivoliの実現するストレージソリューション3製品を披露。DB管理による高度なバックアップは、従来までの増分バックアップの弱点を克服したように感じられる。

 5月27日より開催中の「IBM Software World 2003」、Tivoli Dayと題された27日には、「Tivoli Storage管理製品最新事情-どのようにROIを向上させるのか」と題されたセミナーが行われた。

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 壇上に立たれた日本アイ・ビー・エム、Tivoli事業部・西倉 誠 氏からは、このセミナー内でTivoliブランドの中から3製品「Tivoli Storage Manager」、「Tivoli Storage Resource Manager」、「Tivoli SAN Manager」(以下、TSM)が紹介された。いずれの製品も、企業内におけるストレージの管理・分析が目的とされ、処理の自動化が行える点がテーマとなっている。

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増分バックアップをファイル単位でDB管理可能な「Tivoli Storage Manager」

 「Tivoli Storage Manager」(以下、TSM)は、ストレージ管理ソリューションとして提供されるものだ。「障害管理」、「構成管理」、「パフォーマンス管理」、「容量管理」、「課金管理」、「バックアップ管理」など、これら多くの課題がカバーされる製品となっている。

 TSMでは主にネットワークバックアップが主眼とされているが、次のような点が優位性として強調された。比較的オプション製品が少なく標準パッケージで主な機能がカバーされる「ライセンスコストの低価格さ」、UNIX、WindowsはもちろんLinux、OS/4000、メインフレームなどに対応する「マルチプラットフォーム対応」、LAN、SAN、Flashcppy連携などがサポートされる「バックアップ形態の多彩さ」などだ。

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 また、独自の機能としては、ファイル単位でバックアップが行える、管理DBと連携可能な「プログレッシブ・インクリメンタル・バックアップ」が挙げられた。この機能は、日ごろの処理ではフルバックアップを必要とせず、増分バックアップだけで構成される。増分からの効率的なリストアが特徴であり、DB上に管理される増分データは、リストアの際にファイル単位で検索される。対象とされるデータは、DBから格納されているバックアップテープを確定する仕組みだ。

 この機能により、フルバックアップを行わない分、高速さが期待され、さらにバックアップ容量がむやみに肥大化せずテープ本数の削減にも効果があるという。

 幾つかの事例も紹介された。その中の1つでは、リモートを利用するSANリカバリにおいて、30km離れた地点のバックアップと、ローカル環境を比較した際でもそれほどの大差がないというものだ。回線状態には依存される実証であるものの、パフォーマンスを知る上では参考になるだろう。

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ストレージプランニングと管理を実現する「Strage Resource Manager」

 ストレージ・リソース管理の課題としては、人手に頼っている点、管理コストの増大、有効なデータかの把握が不完全などの問題点が指摘された。

 ストレージのプランニングと管理が行えるプロダクトとして「Tivoli Storage Resource Manager」(以下、TSRM)が紹介された。この製品では、ストレージ状態を把握する際、データに基づく分析を可能としている点が特徴だ。TSRMを利用することで、以降のストレージ運用に関わる振る舞いが容易になるという。

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 TSRMによる管理・分析により、モニタリングが行われアラート処理やキャパシティからのプランニング、ポリシーベースでの自動アクションの実行、300種類以上のレポート出力などが可能になる。

 また、複数のRDBを利用している場合にも効果的であり、オプションのTSRM for DBを利用すると「Tivoli イベントコンソール」で一元管理が可能な点が挙げられた。複数のRDBを利用する際、TSRMであれば統合管理ができ、DB内の利用許容範囲を推測できるという。

SANの監視とエラー予測をオートノミックに実現

 SAN管理の課題としては、さまざまなベンダー機器導入による「複雑性の増加」、ストレージ管理は各サーバで行っているという「資源統合の限界」、データ増大にともなうSANストレージへの要請拡大などが指摘される。

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 これらの課題に対し、Tivoliブランドからは「Tivoli SAN Manager」が提供されている。SANの監視を行うプロダクトであり、Tivoli特有のオートノミックなエンジンが採用されている製品だ。

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 オートノミックエンジン部はブラックボックス化されているものの、自動的にSANエラー予測が行えるよう機能搭載されているのが特徴となっている。SANファブリックでリンクレベル障害が察知でき、予測することが可能だ。

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[木田佳克,ITmedia]