エンタープライズ:ニュース 2003/05/29 19:18:00 更新


DB2 Day:迅速なデータ統合とBI機能の強化でe-ビジネス・オンデマンドを支えるDB2

IBM Software World 2003は最終日を迎えた。DB2 Dayのゼネラルセッションには、DB2の開発を統括するロザミリア副社長が登場し、データインテグレーション、ビジネスインテリジェンス、コンテントマネジメントへとファミリー製品を拡充するDB2を紹介した。

 東京国際フォーラムで開催中の「IBM Software World 2003 & IBM developerWorks Live! with WebSphere 2003」は最終日となる3日目、「DB2 Day」を迎えた。午前のゼネラルセッションには、IBMソフトウェアグループでDB2ファミリーの開発を統括するトム・ロザミリア副社長がインフォメーションマネジメントの技術トレンドや方向性をテーマに講演した。

 データ管理という特定分野に限らず、ITプロジェクトには迅速なROIやリアルタイム分析の機能が期待されている。IBM流にいえば、昨年秋にサム・パルミサーノCEOが掲げた「e-ビジネス・オンデマンド」の実現ということになる。

「かつてのプロジェクトには24カ月とか36カ月という歳月がかけられたが、最近では、1週間後に“もう終わったか?”と聞いてくる人がいる」とロザミリア氏はユーモアを交えて、ITを取り巻く環境を説明する。

「ITによって把握したい内容も、かつては“過去5年の推移はどうだったか?”というものだったが、今では“この5分間に何が起こっているのか?”を知りたがっている」(ロザミリア氏)

 顧客ニーズや市場の微妙な変化を捉え、迅速に対処できるのがe-ビジネス・オンデマンドだが、そのためにはリアルタイムの情報が欠かせない。いわば、e-ビジネス・オンデマンドを支える基盤が、彼の担当するインフォメーションマネジメント製品だといえる。

 ロザミリア氏は、コールセンターを例として取り上げる。顧客のリクエストや質問に対してオペレーターが即座に対応できないとしてよう。あとから電話をかけ直して回答しなければならないのだが、彼によれば、そうするとコストは4倍に跳ね上がるという。もちろん、顧客満足度も高められないし、最悪の場合は販売の機会を失うことにもなる。

 IBMソフトウェアグループでは、コールセンターのビジネス価値を高めたいと考える企業顧客には、専門家とのコラボレーションを実現するLotus、ポータルやアプリケーションのインテグレーションを実現するWebSphere、そして情報をインテグレーションするDB2など、幾つかのミドルウェア製品群をオープンスタンダードベースで組み合わせて提案している。「インフォメーション・オンデマンド」実現を担うDB2ファミリーは、同じミドルウェアとはいえ、この場合も「縁の下の力持ち」的な存在になる。

 今回のカンファレンスで正式発表された「DB2 Information Integrator」は、企業内にばらばらに存在するデータをそのままに、プログラムをいちいち書いたり、データウェアハウスを新たに構築することなく、情報をきちんとリアルタイムで単一ビューとして見せてくれる。IBMでは「フェデレーション」(連邦)と呼ぶ機能だ。既存のシステムやアプリケーションに手を付ける必要がないため、短期間での情報統合できるのが最大の恩恵だ。

ファミリー製品拡充

 インフォメーションマネジメント分野のフラグシップ製品が、20年の歴史を誇るリレーショナルデータベース「DB2 UDB」であることに変わりはないものの、IBMソフトウェアグループではe-ビジネス・オンデマンドの基盤を支えるべく、こうしたファミリー製品の拡充を明確に打ち出している。

 北米では急激にビジネスが拡大しているContent Managerもファミリー製品拡充のひとつの方向性だ。DRM(Digital Rights Management)機能は、文書の改ざんを防止できるという特性から一般のビジネスユーザーにとっても有用だとロザミリア氏は話す。

 また、正式発表ではないものの、ビジネスインテリジェンス(あるいはデータウェアハウス)分野では、「DB2 Cube Views」と呼ばれる製品を彼は紹介した。データをリアルタイムで情報に変えたいという顧客のニーズにこたえるもので、DB2 Data Warehouse Editionにバンドルされて近く登場するという。

 ERPの導入を終えた企業は今、分析ツールを試行している段階にある。そのため、財務や営業といった異なる視点からさまざまな分析ツールが導入されているケースが多く、その分析結果の共有も難しいのが実情だ。

 そこで、DB2 Cube Viewsでは、OLAPメタデータをXML形式でDB2上に構築し、それに最適化されたサマリーテーブルを自動生成する。さまざまな分析ツールを連邦化する機能ともいえるし、ロザミリア氏は分析のための「ターボチャージャー」と表現した。

 DB2 Cube Viewsは、6月末に正式発表されるもようだ。

 ちなみに5月21日、ガートナー データクエスト部門は、RDBMSの新規ライセンス(金額ベース)でIBMがオラクルから首位の座を奪ったことを明らかにしている。シェアはIBMが36.2%、オラクルは33.9%となった。オラクルが20%近く売り上げを減らす中、IBMはわずかな落ち込み(0.8%減)に留めた結果だという。世界市場全体は6.9%減で66億ドル。ちなみに3位のマイクロソフトは売り上げを16.8%伸ばして、シェアを18%まで引き上げている。

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関連リンク
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[浅井英二,ITmedia]