景気低迷でもセキュリティ市場は11.1%増――矢野経済研究所が調査

矢野経済研究所は6月22日、2003年度の国内の情報セキュリティ製品/サービス市場に関する調査結果を明らかにした。

» 2004年06月24日 19時11分 公開
[ITmedia]

 矢野経済研究所は6月22日、2003年度の国内の情報セキュリティ製品/サービスを合わせた市場規模は、前年度比11.1%増の1310億2000万円に上ったとする調査結果を明らかにした。

 この調査は、国内のセキュリティ製品ベンダー12社およびセキュリティサービス事業者8社に対する面接などを元にまとめられたもの。2003年度の情報セキュリティ製品の売上高は、2002年度から6.4%増加し412億円4000万円に、また情報セキュリティサービスについては同14.4%増の797億8000万円に達したという。

 分野ごとに見ると、まずアンチウイルスソフト/ファイアウォールからなる「攻撃防御市場」では、アンチウイルスソフトが前年度比8.9%増の361億4200万円と堅調な伸びを示したのに対し、ファイアウォールは、大企業での需要が一巡したこともあって3.3%減の72億5000万円にとどまった。IDS/IDP製品からなる「不正侵入検知市場」も、前年度比15.5%減の25億2800万円にとどまっている。

 一方で「認証/PKI/暗号化市場」の売上高は、対前年度比18.5%の53億2000万円と見込まれた。さらに、システム構築や保守/サポート、システム監査/監視などを含む「情報セキュリティサービス」は、前述のとおり順調な成長を見せている。

 この数字を踏まえて同社は、景気およびIT投資の低迷が伝えられる中、「ITサービスにおけるセキュリティ面への投資に関しては、大企業を中心に底堅く、またセキュリティへの関心度も年々高まりつつある」と指摘。特に、2003年8月のBlaster(MSBlast)発生を機に、「現状の境界セキュリティだけでは守りきれない部分がある」という危機感が強まったという。

 合わせて、Yahoo! BBをはじめ、顧客情報漏洩事件が続発したことを受け、情報漏洩対策を中心とした内部セキュリティへの関心も高まっているとも述べている。特に、情報セキュリティサービスの分野では、「情報漏洩対策が中核になるだろう」と予測した。

 また、2003年から2004年にかけては「これまでのポイントソリューションでの対応からトータルソリューションへのシフト」に当たる年になると述べ、2004年度の情報セキュリティ製品売上高は544億6000万円、サービスについては908億8000万円に上ると予測している。

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