プリンタ用表示(TechTarget会員専用)
特集

運用管理ツールで何ができるのか:

なぜ運用管理ツールが必要なのか

コンピュータを業務で利用している以上、程度の差はあれ「運用管理」が必ず行われている。業務に必要なソフトウェアを導入すること、OSにセキュリティパッチを適用すること、ネットワークのパフォーマンスを調べること…。これらもすべて運用管理で行われる「仕事」である。システム運用管理がなぜ必要なのか、基本に戻って考えてみたい。
2006年03月18日 00時00分 更新

このコンテンツは、オンライン・ムック「運用管理ツールで何ができるのか」のコンテンツです。関連する記事はこちらでご覧になれます。


後回しになりがちな運用管理

 かつてオフコンが導入されていたシステムでは、ハードウェアも業務パッケージもオールインワンでベンダーから提供されていた。ところが、Windows 95やWindows NT 4.0の登場以降、オフコンの世界にもオープン化の波が押し寄せた。その後、クライアント/サーバシステム、Webアプリケーションシステムなど、目まぐるしい環境変化が次々に訪れ、企業の情報システム部門は、パッケージや業務アプリケーションの対応が追いつかないという課題を抱え始めた。

 そうした環境変化に場当たり的に対処した結果、財務会計、給与、販売/在庫管理などの業務アプリケーションは、別個のシステムとして導入され、いつのまにか多くのサーバと多くのクライアントがネットワーク上に接続されてしまった。

 一方、システムの運用管理は後回しになりがちで、オフコンの時代から引き続き、人による運用を前提としていた。また、オフコンでは基本システム上で用意されていた業務の自動実行やバッチジョブ運用などの機能をオープンな環境は備えていない。これらの運用を自動化する機能がないままでは、運用コストが膨らみ、システムの運用が困難になってしまう。

 また、サーバが増えれば増えるほどシステムは複雑になり、管理者は神業的なシステム運用を強いられてしまう。可能な限り自動化して人的ミスを避けるだけでなく、悪意による不当な操作も防止しなければならない。

 サーバの数が増えれば、どのサーバで何の業務が稼働しているのかを把握するのも難しくなる。これはネットワーク環境にも当てはまる。どのサーバがどこに接続されているのか、そういったことを把握していないと、障害発生時に原因究明を行おうにも、何を確認すればよいのかが分からなくなる。

 さらに、ネットワークがインターネットに接続されると、「セキュリティ」という新たな問題が顕在化した。OSの脆弱性への対応を常に行う必要が生じただけでなく、情報の流出にも配慮が必要になった。セキュリティを高めるためには、外部(インターネット経由など)からの侵入などだけでなく、内部ネットワークからの不正アクセスやデータ流出にも対策しなければならない。これに伴い、従来は業務を行うサーバ側の管理だけを行っていればよかったのに対し、現在は各個人の利用するクライアントの状況を把握し、管理する必要が出てきている。

“困った”を解決する運用管理ツール

 会社の運用管理を任されているあなたは、次のような困った経験はないだろうか。

「サーバ間で情報を連携するようになったが、業務の実行タイミングは熟練者の勘に頼っている。失敗したときの回復も業務のうちだ」

「結果的に単純な原因だが、ネットワーク障害が多発して対応に追われっぱなしだ」

「メモリやハードディスクの空き領域が不足して、コンピュータがダウンする」

「クライアントのアプリケーション入れ替えに失敗し、コンピュータが使えない日がある」

「クライアントがウイルスに感染した。ウイルス対策ソフトは導入していたが、オートプロテクトを無効にしていた」

「忙しいので会社の情報を無断で自宅に持ち帰って仕事をする人が増えた。通勤途中に重要機密情報を紛失。事件にはならなかったが、ひやりとした」

「メールの宛先を間違えて、大切な見積もりを別の取引業者に送ってしまった」

 多くの管理者は、このような状況にヒヤヒヤしながら、毎日を過ごしていることだろう。これらの問題に対して有効な具体的対策として、以下のようなものが考えられる。

  • サーバ上の業務の実行状態を監視し、設定したタイミングに従って業務を実行する
  • ネットワーク機器の接続状態を監視し、障害発生時には障害の発生個所をすばやく通知する
  • コンピュータのメモリやハードディスクの空き領域などのリソースを監視し、設定した許容値を超えた時点で通知する
  • クライアントへのアプリケーション配布を自動化し配布状況を監視する
  • クライアントにインストールされたウイルス対策ソフトの状況を監視し、そのステータスを把握する
  • クライアントPCからの情報持ち出しを防ぐためにリムーバブルメディアの使用を禁止または監視する
  • メールの送受信状況の記録、および重要メール送信時には暗号化などにより特定の受け取り手でないと読めないようにする

 これらの対策は、どれも運用管理ツールを利用することで実行できる。運用管理ツールの役目は、管理者の作業のうち「監視」や「設定」といった手間のかかる部分を自動化したり一括して行えるようにしたりするものだ。管理者は運用管理ツールを導入することで、手間のかかる作業を自動化し、管理の手間を省き、コストの削減が可能になる。

 運用管理ツールというとジョブ管理などサーバ上の業務をスムーズに運用するためのツールという意識も大きいが、それ以上に、システム全体を把握し、管理者が「今、システムがどのような状態にあるのか」を確認し、何か起こった際にすばやく対応できるようになる点が重要だ。ITがビジネスに不可欠になり、ダウンが許されなくなってきている現在、運用管理ツールは欠かせないツールになっていると言えるだろう。

[ITmedia]

Copyright© 2010 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


キャリアアップ



エンタープライズ・ピックアップ

news008.jpg クラウドがもたらす本当のメリット:日本のクラウド市場の現状とクラウドの価値へのフォーカス
クラウドに関する企業ユーザーの声は厳しい。それが何を意味するのかがいまだ分かりにくく、まして何を提供してどのような利便性が生まれるのかの説明がなされていないからである。クラウドがもたらす変化や体験を正しく伝え、理解されることが、本当のクラウドを企業へ推進することにつながるのである。

news008.jpg 点検 ストレスなきデジタル情報整理術:「残業ゼロ」に向けて社員の能力を引き出す方法――元トリンプ社長の吉越氏
業務の生産性向上や効率化などの課題を解決するには、ITの活用に加えて、社員が活力を維持できることも重要になる。ストレスのない働き方を実現していくためのポイントを、「残業ゼロの仕事術」で知られる元トリンプ・インターナショナル・ジャパン社長の吉越浩一郎氏に聞いた。

news040.jpg 戦略コンサルタントの視点:無料化するクラウド、潜む落とし穴
戦略コンサルティングファーム独ローランド・ベルガーに、情報システムの新たな姿について寄稿してもらう。4回目は、クラウドコンピューティングの落とし穴について解説する。

news013.jpg ITmedia リサーチインタラクティブ 第5回調査:Google Appsへの期待が鮮明に――変わる企業の情報共有基盤
電子メールやスケジュール管理などの機能を持つコミュニケーションツールの入れ替え時期が迫っている。10年前に導入した企業が約4割に上り、今後の導入においてはGoogle Appsへの期待が高まっている。ITmedia エンタープライズとITRが実施した読者調査から、企業の情報共有基盤に対するニーズの変化を明らかにする。

news011.jpg ドジっ娘リーダー奮闘記:年上の男の子
年功序列型の組織ではあまり存在しなかった立場と年齢の逆転が実力主義の現在では当たり前になり、若いリーダーが年上のメンバーとの関係に戸惑うことが多いようです。今日は年上のメンバーへの接し方を、しんこちゃん&春美ちゃんの新米リーダーペアとともに学びましょう。