NECとEMCがアライアンスを大幅強化

NECとEMCは両社の戦略的提携関係をさらに強化することを明らかにした。ストレージ、ミドルウェア、コンテンツ管理製品の共同開発、国内におけるストレージシステムのインテグレーションビジネスの4つの領域が主な対象となる。

» 2006年04月05日 19時38分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 NECとEMCは4月5日、都内のホテルで記者発表会を行い、両社の戦略的提携関係をさらに強化することを明らかにした。具体的には、ストレージ、ミドルウェア、コンテンツ管理製品の共同開発、また、国内におけるストレージシステムのインテグレーションビジネスにおける協業も強化する。両社の強みを持ち寄ることによって、シナジー効果を追求する考えだ。

左からNECの川村副社長、矢野薫社長、EMCのトゥッチCEO、ハワード・エリアス上級副社長

 来日した米EMCのジョー・トゥッチ氏は、「日本市場の重要性は以前から認識していたが、NECとの本格協業で取り組みをさらに強化できる」と話す。

 この日は、EMCのストレージ市場でのシェアについて、世界、米国、欧州、アジア太平洋地域のいずれにおいても1位であることが紹介される一方、日本だけが3位であることが強調されている。そこで、「悩みの種」でもある日本市場で覇権を取るための協業強化ともいわれている。また、情報システムの保守運用サービスを手掛けるNECフィールディングをはじめとした関係会社の存在も、EMCにとっては力強い味方になりそうだ。

 なお、EMCが既に協業しているDellとの関係についてトゥッチ氏は「今後も変わらずいい関係を続ける」とこたえている。

 一方で、NECの川村敏郎副社長は「NECはこれまでさまざまなベンダーと協業してきたが、ここまで深い関係を築くのは初めて」と話す。協力関係を生かすことで「なるべく重複投資をしないように緊密な関係を確立したい」とコメントしている。

 協業後の最初の取り組みの1つとして、両社はエントリーモデルのストレージ製品を共同開発する。実際には生産をNECが担当し、EMCはOEM供給を受ける予定。両社ともこの共同開発製品を、NECはiStorage、EMCはCLARiXという自社のストレージ製品のラインアップに追加し、日本およびグローバルで販売する予定となっている。

 また、両社はミドルウェアの開発でも協業する。NECには「WebSam」、EMCには「Smarts」という統合システム管理製品があり、両製品を同じ土俵に載せて検証し、最終的には両製品を統合することも視野に入れている。

 コンテンツ管理ソリューションの共同開発では、EMCが2003年に買収したDocumentumにNECが持つ業務ノウハウを統合し、製造や金融、公共などの業種別ソリューションを開発し、市場展開するとしている。

 さらに、日本でのストレージ分野でのシステムインテグレーションでも多面的に協力する。具体的には、NECが持つ「プラットフォーム最適化ソリューション」とEMCの「Provenソリューション」や「ILM(Information Lifecycle Management)コンサルティング」を組み合わせることによって、ソリューション強化を図るとしている。

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