BIと知らずにBIを利用する環境現場力を鍛えるこれからのBI:

前回はBIの現場活用に立ちはだかる壁ついて述べた。今回はBIを組織の中で浸透させていく方策について考えてみたい。ユーザーに対してBI活用を特別な作業と意識させないことが大切のようだ。

» 2006年04月17日 07時00分 公開
[村上 敬,ITmedia]

業務アプリとの融和性高める

全社的なBI活用が進んでいくということは、イメージ的にはカジュアルな使い方が増えていくということだろう。動きが激しく分析やそれを基にした戦略立案にそれほど時間も労力も取れない立場の人間が効率的に使うにはどうすればよいのか、それがテーマになる。SAPジャパン ソリューションマーケティング本部の谷口裕志氏は次のように語る。

「現場のユーザーの意識が変わったかというと、微妙なところではあるんです。意識なくBIを使っているユーザーも多いと思うので。当社の場合は、CRM向けのBIとか、ERP向けのBIとか、業務アプリケーションとの融和性を強めているので、ユーザーとしてはどこまでが業務アプリーションで、どこからがBIなのかということはあまり意識しないで使っているのではないでしょうか」

マイクロソフトのインフォメーションワーカービジネス本部のシニアプロダクトマネージャ、西岡真樹氏はこんな指摘をしてくれた。

「通常の業務プロセスに対して、BIを『BIシステムですよ』といって載せてしまうと、なかなか使われないという現状がある。だから通常のドキュメントのレポートを作っている作業で、実際はBIのデータウェアハウスからデータを引っ張っているのに、いかにそれを感じさせないか、ということが命題になってくる。たとえば何かしらの設定値があって、それをしきい値が超えた場合、アウトルックにメールで通知する、情報を共有するシステムに、営業の売上データを表示する、というように、いかに通常のプロセスの中に自然に溶け込ませるかということが大切です」

単体のシステムではなくなりつつある

使わなければならないという義務感を必要以上に負わせるのは得策ではない。システムを構築したから、これまでの作業が楽になるというのが理想だ。

基本的にはエクセルなどで日常、情報を解析して何らかの戦略を立案している人であれば、BIツールはそれほど難しくないものになっている。

SAS Institute Japanの執行役員、桐井健之氏はBIの活用が進むと、BIという言葉さえ消えていくかもしれないと話す。

「BIが単体のシステムとして利用される時代が続くのではなく、ITのビジネス利用において、BIというのは、すべてのシーンで重要なファクターとなってきています。データをどうインテリジェンスにまで高めるかが問題なのです。何か特別なことをしているという意識をしないで、どんどん利用するユーザーが増えて来ていると思います。その裏で大量の情報を取り込み、解析スピードが早いシステム上のエンジンが必要なのはいうまでもありません」

日常業務の中にBIがさらに浸透していくと、BIという姿そのものが見えなくなるということだ。

 次回は社内のBI活用を効率的に進める方法とこれから起こりうる組織と個人の変化について論じてみたい。

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