「ホストデータ抽出製品でIBMの懐に飛び込む」とインフォマティカの新社長

インフォマティカの内田新社長は、IBMメインフレームのデータをノンプログラミングで容易に抽出する「PowerExchange」を重点製品として掲げる中期事業戦略を明らかにし、「データ統合のリーダーになる」とした。

» 2006年04月19日 16時34分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 データ統合ソリューションのインフォマティカ・ジャパンは4月19日、確固たる地位を日本市場で築くための中期事業戦略を明らかにするとともに、IBMメインフレームのデータをノンプログラミングで容易に抽出する「PowerExchange for IMS」を重点製品として発表した。

 シリコンバレーに本社を置くInformaticaは、ETL(Extract, Transform and Load)ツールのリーディングベンダーとして知られてきた。ETLは、基幹業務のシステムからデータを抽出し、適切に変換を行い、データウェアハウス(DWH)にロードすることでビジネスインテリジェンス(BI)を実現するツールだが、矢野経済研究所によると、日本市場は約45%の日本アイ・ビー・エム(旧アセンシャル)と約40%のインフォマティカによってほぼ2分されているという。

 3月半ばからインフォマティカ・ジャパンの社長に就任した内田雅彦氏は、「データ統合のニーズは、DWH構築以外の分野でもたくさんある」とし、新たな領域に踏み出すことで、さらなる成長に自信を見せる。

米本社のアバシCEOとはオラクル時代から親交がある内田新社長

 2年前、元Oracle幹部のソヘイブ・アバシ氏がInformaticaのCEOに就任して以降、同社は「The Data Integration Company」をビジョンに掲げ、データ統合ソリューションへと大きく舵を切ってきた。DWHの構築はもちろん、レガシーシステムの縮小や移行を支援する「レガシーマイグレーション」、組織の合併や統合を支援する「データの連結」、「マスターデータ管理」へと製品やソリューションの幅を広げている。

 ITのプロジェクトでは必ずデータをどう扱うかが課題となり、ビジネス上の課題の克服にはデータ統合が不可欠となる。「単にETLのマーケットにとどまらず、データ統合という大きなマーケットに挑戦し、2008年度にはリーディングベンダーになりたい」と内田氏は話す。

日本のメインフレームはこれ以上減らない

 この日発表されたPowerExchangeは、IBMメインフレーム上の各種データソースに対応したバッチ、差分抽出、リアルタイムアクセスのためのツール。2003年9月、InformaticaがStrivaを買収して手に入れたもので、変更データだけを容易にキャプチャーする特許技術が大きな特徴となっている。IBMにも並ぶ製品がなく、「メインフレーム大国」とも揶揄(やゆ)される日本では、ニーズが高いと内田氏も踏んでいる。

 昨年12月に「DB2」「VSAM」および「フラットファイル」に対応したPowerExchangeが発表・出荷されており、今回の新製品は、より複雑なIMS環境をサポートするバージョンを追加したもの。当面のライバルであるIBMの懐に飛び込む戦略製品といえる。

 「日本のメインフレームはこれ以上減らないといわれている。IBMメインフレーム上のさまざまなデータソースから情報を効率的に抜き出し、かつメンテナンスコストを削減しながら、一貫性のある情報を活用できるPowerExchangeは日本市場で大きなチャンスがある」と内田氏。既にPowerExchangeの実装に踏み切っている日本企業もあるという。

 PowerExchange for IMSの価格は1400万円からとなっており、5月末の出荷が予定されている。

 なお、メタデータの集中管理やGUIベースの効率的な開発環境を統合し、単なるETLツールからデータ統合ソリューションへと昇華されている主力製品の次期バージョン、「PowerCenter 8」も今年第4四半期に投入予定という。

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