手元のICカードでワンタイムパスワード生成、日本ジェムプラス

日本ジェムプラスは、EMV対応のICカードを用いてワンタイムパスワードを生成する「GemAuthenticate」の販売を開始した。

» 2006年05月08日 18時24分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 日本ジェムプラスは、金融取引用ICカードの国際規格であるEMV(Europay MasterCard Visa)対応のICカードを用いてワンタイムパスワードを生成する「GemAuthenticate」の販売を開始した。

 GemAuthenticateは、オンラインバンキングサービスなどを提供する金融機関や社員にリモートアクセスを提供する企業をターゲットとしたワンタイムパスワードシステムだ。サーバ側に専用の認証サーバ「GemAuthenticate SERVER」を、ユーザー側にはEMV対応対応のICカードとワンタイムパスワード生成用の専用リーダ「GemPocket」を導入して利用する。

 一定の時間が経つと無効になる使い捨てパスワード(ワンタイムパスワード)による認証は、スパイウェアによるID詐取やフィッシング詐欺を防止する手段の1つとして注目を集めている。GemAuthenticateもそうしたシステムの一種だが、最大の特徴は、専用トークンを用いる代わりに、ユーザーの手元にあるEMV対応ICカードと専用リーダを用いて、オフラインでワンタイムパスワードを生成する点だ。

 「すでに出回っているICカードを使うところがポイント」と日本ジェムプラスのファイナンシャル&セキュリティサービス事業本部長、中村久春氏は述べる。また、ICカードとリーダ本体、ユーザーが覚えているPINコードの3つがそろわないとワンタイムパスワードを生成できないうえ、生成作業がオフラインで完結するため、セキュリティ的にもより強固だという。

中村氏 ワンタイムパスワードを生成する専用リーダを持つ日本ジェムプラスの中村氏

 将来的には、リーダを持ち歩かなくても、SIMカード対応の携帯電話上でワンタイムパスワードを生成できるような機能を開発する予定ということだ。

 課題は、国内ではクレジットカードやキャッシュカードのICカード化が十分に進んでいないこと。しかし「スキミング対策などの観点もあって、大手金融機関を中心に今年から来年にかけてICカード化は進展していくと予想している」(中村氏)

 GemAuthenticateの価格は個別見積もりで、ユーザーに配布するリーダは1個当たり数百円程度を想定している。「パスワードの問い合わせや再発行に要するコストを考えれば安い上に、オンラインサービスに関する利用者の不安を払拭し、リスクを削減できる」と中村市は述べている。

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