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» 2006年07月07日 12時49分 UPDATE

Trend Insight:OpenDocumentを選んだベルギー政府 (1/2)

ベルギー政府は各省庁に対し、文書のやり取りにOpenDocument Formatを用いることを義務づける議案を承認した。とはいえ、Microsoftのフォーマットを完全に却下したわけではない。

[Koen-Vervloesem,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine

 先月、ベルギーの閣僚会議は、連邦政府の各省庁に対し、文書のやり取りにオープンなファイル形式の使用を義務付ける議案を承認した。そこで認められている標準規格は、現状ではOpenDocument Format(ODF)だけである。これにより、Microsoftに対してオープンスタンダードのサポートを迫る圧力が高まっている。

 ベルギーの雇用・情報化担当大臣ピーター・バンベルトーベン氏は、次のように説明している。「現在、行政文書の作成および交換は、Microsoft Office、Corel WordPerfect Office、OpenOffice.orgなど異なるオフィススイート上で行われているため、ほかのソフトウェアの利用者との文書のやり取りに支障を来すことがある。しかし、XML、とりわけODFを採用すれば、文書の作成および保管のための標準規格ができることになる」

 ODFのドラフト版は、5月に国際標準化機構(ISO:International Standards Organization)によって承認されている。最終的な認定が下りればすぐに「連邦政府の各省庁は文書、スプレッドシート、プレゼンテーションといったオフィス文書のやり取りにODFを使わなければならなくなる」とバンベルトーベン大臣は話している。

 最初の段階では、それぞれの組織がODFファイルを読める環境を整えなければならない。また、各種サービスを継続して提供するための必要な措置を採る移行期間が設定される予定である。「具体的な移行期間は、起こり得る影響を調査した結果と、適切なプラグインの有無によって変わってくるだろう」(バンベルトーベン大臣)。

相互運用性

 ピーター・ストリックス氏は、Fedictにおいてアーキテクチャおよび標準規格の統括マネジャーを務めている。Fedictとは、ベルギー連邦政府の情報通信技術(ICT)の政策をまとめている政府組織である。「われわれがオープンスタンダードを選択したのは、連邦政府各省庁の間で相互運用性を高めたいという理由からだ」と彼は話している。2年前の閣僚会議で、公共部門が調達するソフトウェアにおけるオープンな標準規格および仕様の採用について記されたある白書の内容が認められた。現在の閣僚会議の議案は、このガイドラインを連邦政府の各省庁向けに具体化したものだ。

 ストリックス氏は「ODF文書の作者は、受け手側で文書の閲覧および編集が可能なことが分かっている。ODF文書の閲覧と編集は、プラグインを使って対応するものも含めて、オープンスタンダードに対応したすべてのワープロソフトで可能だからだ」と主張している。

 オープンスタンダードの重要性は、Microsoftも強調している。Microsoft Belgiumの広報担当マネジャーであるフランク・デ・グラーベ氏は、次のように述べている。「われわれは可能な範囲でオープンスタンダードを使用するというベルギー政府の決定を支持する。また、XMLベースのファイル形式が重要な情報を柔軟な形で保存するための最善の解決策であるという点についても同意している」

 ただし、閣僚会議によってODFの使用が義務付けられるのは、連邦政府の各省庁に限られている。これは、市や県には、文書の交換にオープンスタンダードの使用が求められないことを意味する。また、市民や企業と、政府とのやり取りについても同様である。「連邦政府の各省庁は、依然として組織内ではほかのファイル形式を使うことが認められる。Fedictがオープンスタンダードの利用を推進する理由は、組織間における相互運用性にあり、各組織が内部で何を使うかについてはFedictは関知しない」とストリックス氏は話している。

門戸を開くオープンスタンダード

 ベルギーの閣僚会議が現時点で認めているフォーマットはODFだけである。以前の議案には、Office 2007に採用される予定のMicrosoftのOpen XMLフォーマットも入っていたが、現状Open XMLに対応したソフトウェアが市場に出ていないという理由で削られた。

 今のところ、Open XMLは公認フォーマットに含まれていないが、ベルギー政府はMicrosoftのフォーマットを完全に却下したわけではない。Open XMLに対応した製品が現れ、同フォーマットが標準規格としてISOに提案されれば、ベルギー政府がOpen XMLを受け入れる可能性もある。反対に、MicrosoftがODFをサポートせず、Open XMLフォーマットがオープンスタンダードとして認められなければ、同政府の省庁はMicrosoft Officeを切り捨てるだろう。従ってMicrosoftに残された選択肢は、Open XMLをオープンスタンダードとして認めさせるか、ODFをサポートするかだ。後者は、Microsoftの直接の競争相手によって実現される可能性がある。OpenDocument Foundationが、ODFをサポートするMicrosoft Office用のプラグインに取り組んでいるのである。

 つまり、ODFを採用するからといって、ベルギー政府はMicrosoft Officeを切り捨てようとしているわけではない。Fedictは、ODFに移行する適切な戦略を定めるために、どのような影響が出るかの調査を行うことになっている。ただし、Microsoft Office 2007のリリースまたはISOによるOpen XMLの承認が済むまでFedictが待つことはなさそうである。いずれも時期が明確になっていないからだ。

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