「Windows史上最強」をうたうVistaのセキュリティ、その内容は?(1/2 ページ)

次期OSのWindows Vistaでは、セキュリティ強化を目的に、カーネルのアーキテクチャに根本的な変更が加えられる。

» 2006年08月08日 09時10分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 「VistaはWindows史上、最強にセキュリティが堅いOSだ」(マイクロソフトのWindows本部ビジネスWindows製品部マネージャ、中川哲氏)――マイクロソフトは8月7日、11月に企業向けのリリースを目指して開発を進めている次期OS、Windows Vistaのセキュリティ機能に関する説明会を開催した。

 マイクロソフトはこれまでも、Windows Vistaにおけるセキュリティ機能についてたびたび言及してきた。同社は「信頼できるコンピューティング」を提唱した後、仕様設計や開発の段階からセキュリティを考慮し、コードについても徹底的に検査する「セキュリティ開発サイクル」(SDL)に取り組んできたが、Windows Vistaは、SDLが適用された初のクライアントOSとなる。

 この結果Windows Vistaでは、マルウェアを検出、駆除する「Windows Defender」をはじめとするセキュリティ機能が搭載、強化されるだけでなく、「アーキテクチャの部分を洗い直し、セキュリティを意識して一から書き直した」(中川氏)。ユーザー権限モデルやWindowsサービスセッションの実行空間についても、セキュリティの観点から変更が施された。

 Vistaでこれだけの変更が加えられた背景には、セキュリティリスクの変化があるという。

マイクロソフト、Windows本部ビジネスWindows製品部、シニアプロダクトマネージャの永妻恭彦氏

 「Windows XP Service Pack 2をリリースしてから約2年が経ったが、その間にセキュリティ上のリスクはだいぶ変わった。露骨にPCに入り込んでくるのではなく、情報を直接取りに来るマルウェアが増えた。また、外部からの脅威だけでなく、内部のセキュリティをどう管理するかもリスクの1つに数える必要が出てきた」(同社Windows本部ビジネスWindows製品部、シニアプロダクトマネージャの永妻恭彦氏)

Vistaの「多層的な防御」

 Windows Vistaでは、主に6つの側面からさまざまなセキュリティ機能が追加、あるいは強化されている。主なものは以下のとおりだ。

対策のポイント 主な目的 具体的な機能
ローカルPCのセキュリティ対策 物理的な保護 Windows BitLockerによるHDDの暗号化。Trusted Platform Module(TPM)や外部デバイスとの連動が可能
グループポリシーによる外部デバイスの接続制御(例:USBメモリの使用禁止、書き込み禁止など)
安全な方法によるOSインストール ImageXを用いたイメージの作成、管理、展開
マルウェア対策 Internet Explorer 7の保護モード
Windows Defender
ユーザーアカウントの安全な構成、管理 ユーザー権限モデル/アカウント制御の変更
サービスを安全に構成 Windowsサービスの隔離
Windowsサービスのセキュリティ強化
ファイルセキュリティ設定によるデータ保護 BitLockerによる本体/HDDの保護
EFS(暗号化ファイルシステム)によるファイル/フォルダの保護
RMSによるコンテンツの保護
認証のセキュリティ対策 GINA(Graphical Identification and Authentication)の撤廃、複数認証方式のサポート
ネットワークのセキュリティ対策 Windowsファイアウォール(アウトバンド通信についても制御可能に)
NAP(ネットワークアクセス保護)による検疫ネットワーク
すべてのPCのセキュリティレベルの均一化 ImageXで作成したイメージを用いたセットアップ
BDD(Business Desktop Deployment)によるイメージの展開
監査とバックアップ イベントビューワの機能強化
バックアップの機能強化
BitLocker BitLocker機能のデモ。暗号鍵がないと起動すらできない
ポリシーによる接続制御 グループポリシーによって、USBメモリをはじめとする外部デバイスの利用をコントロールできる。このデモの場合は利用を許可していない

 このうち、既存アプリケーションへの影響が大きくなりそうなのは、ユーザー権限モデルの変更とWindowsサービスの隔離の部分だ。

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