VistaはMSDEをサポートせず――影響するシステム数は膨大に?(1/2 ページ)

デスクトップデータベース技術のMSDE 1.0および2000が、Windows VistaとLonghorn Serverではサポートされないことになった。この影響を受けるアプリケーションの数は多いことが予想され、後継版への移行は厄介な作業になるかもしれない。

» 2006年08月30日 07時00分 公開
[Greg DeMichillie,Directions on Microsoft]
Directions on Microsoft 日本語版

 デスクトップデータベース技術のMSDEが、Windows VistaとLonghorn ServerではサポートされないことがMicrosoftから発表された。MSDE(Microsoft Data EngineやMicrosoft SQL Desktop Engineとも呼ばれる)は、SQL Serverリレーショナルデータベースエンジンの無料バージョンで、デスクトップやキャパシティの低いサーバ用に設計されている。

 この発表は、Microsoftも含め、MSDEをアプリケーションに搭載している多くのソフトウェアベンダーが、VistaやLonghorn Serverをサポートするには、それらのアプリケーションをアップデートしなければならないことを意味する。さらに、VistaやLonghorn Serverを導入したいと考える企業は、まずMSDEのインスタンスや、MSDEに依存するアプリケーションを特定してアップグレードしなければならない。これは厄介な作業になるかもしれない。

 MSDEには、MSDE 1.0と2000の2つのバージョンが存在し、どちらもWindows VistaとLonghorn Serverではサポートされない。2005年末にMSDEの後継製品としてSQL Server 2005 Express Editionがリリースされており、VistaとLonghorn Serverでは、このExpress Editionだけがサポートされる。

メインストリームサポート期間でも上位互換は保証されない

 MicrosoftはVistaとLonghorn ServerでMSDEをサポートしない理由として、MSDEがMicrosoft Updateで自動更新できないことを挙げている。だが、MSDEをVistaの強化されたセキュリティ機能(User Account Protectionなど)に対応させる上での問題も、理由の1つになったとみられる。

 しかし、VistaとLonghorn ServerでMSDEをサポートしないという決定は、意外なものだ。MSDE 2000は2008年4月まで、製品ライフサイクルの中でフルサポートが提供される期間であるメインストリームサポートフェーズにあるからだ。このことは、メインストリームサポートというフェーズ区分の重要な限界を浮き彫りにしている。つまり、メインストリームサポートフェーズにある製品であっても、Windowsやそのほかのプラットフォームソフトウェアの新バージョンで動作することは保証されないということだ。

 Microsoftの位置づけでは、メインストリームサポートフェーズとは、製品がリリース当初の対応プラットフォーム上で利用されるという前提で、同社が問題やバグの修正要求に対応し、有料サポート契約を提供する期間を定めたものにすぎない。ある製品がメインストリームサポートフェーズにあるとしても、そのプラットフォームである製品に対する変更や修正は、Microsoftの独自の裁量で進められている。

開発者やIT部門への影響

 MicrosoftはVista上でMSDEの動作を十分にテストしておらず、どのような問題が起こりうるかを顧客に伝えていない。SQL Expressチームのプログラムマネジャー、Mike Wachal氏は、VistaとLonghorn ServerでMSDEをサポートしないことを発表したブログで、こう述べている。「われわれはVista上でのMSDEの機能については、一切保証しない」「Windows XPからVistaにアップグレードすると、MSDEが動作しなくなるという事例報告を聞いている。MicrosoftはVistaでMSDEをサポートしないため、これは問題として残されることになる」

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