「SiteCatalystを選んだ理由は、WebサーバのOSプラットフォームが異なっても、1つのアクセス解析ツールで統合できることが大きな点です」。オリックス・クリエイト、ゼネラルマネージャの時枝千恵氏に、アクセス解析ツール選択について話を伺った。
オリックスグループは2006年8月現在、50%以上の出資による連結会社が185社、関連会社が84社で構成されている。その中で展開しているWebサイトは60を超えるという。
この中でも幾つかのグループ会社では複数のサイトを運営しており、例えばオリックス自動車では10サイトを運用している。ほかにもグループ内でWeb展開を行っているところでは、生命保険、オンライン証券、カードローン、ホテルなどと、幅広い業務内容であることが特徴だ。
オリックスグループがオムニチュアのSiteCatalystを導入した理由、そして導入経緯について、オリックス・クリエイト、ゼネラルマネージャの時枝千恵氏と、同社広告・ウェブチームの鈴木里子氏に聞いた。
オリックスでは、Webによるサービス展開を行う約60サイト中、オリックス自動車であればオリックスレンタカーを始め、マイカーリース(いまのりくん)、カーシェアリングなどサービスごとにサイトを運営している。ほかにもJCBカード、高島屋カード、セゾンカードなどとの連携サービスごとにサイトを用意するなど、業種別、サービス別にさまざまなサイトが存在するという。
時枝氏は、SiteCatalystを導入するまでの約2年間、理にかなった良いツールがないものかと探し続けていたという。「著名なアクセス解析ソフトは、ほぼすべて検討したと思います」と同氏。
しかし、導入まではグループ内サイトそれぞれの担当者からの要望を100%カバーできるものが存在しなかったことを強調した。では、その要望とはどのようなものだったのだろう?
前述したように、異なるWebサーバのOSプラットフォームでも1つのアクセス解析ツールで統合できる点はもちろんだが、この恩恵には教育面が大きくかかわっていることを明かした。「全社共通の基盤として情報共有ができることが重要であったのです」と時枝氏は語る。
さらに同氏からは、アクセス解析ツールの標準機能はもちろんのこと、カスタマイズ性、サポート体制が重要なものだったという。オリックスグループでは、前述のようにさまざまな業種によるさまざまなサービスが展開されているため、多くのニーズに応えられることがとても重要なことだという。
2年の歳月の中で、以前は解決できなかった要件はそれぞれのアクセス解析ツールのバージョンアップにより要求するものに近づいてきたのも事実だ。
「いずれのツールでも、ある程度の要望を満たすことができました。じつはSiteCatalyst以外にも最終的に2つの選択肢がありました。しかし、SiteCatalystには、すべての要望を満たす決め手があったのです」と時枝氏。
それでは、従来のログ分析ツールで何が不満だったのだろうか? オリックスグループでは、多岐にわたる事業をグループ会社が展開していることから、個々のサイトの表現はもちろんのこと、サービス内容も異なっていることが、同時にWebサーバ環境にも影響していたのだ。
オリックスグループが構築するサイトでは、システムに依存せずにポリシーを尊重し、これまでは個々のWebサーバ上で構築を行ってきた。このため、それぞれのWebサーバ上のアクセスログをログ解析ツールで参照することは当然の流れであったわけだ。この形態であれば必然的に統合されたアクセス解析を行うことは困難となる。この点こそがオムニチュアのSiteCatalystを導入する理由の1つになったという。
例えば、金融系サイトであればオリックスで完全に管理することが可能な領域にサーバを配置しておくことが重視すべき点であり、一方、例えばオリックス自動車で展開する期間限定のキャンペーンサイトであれば、比較的配信容量が大きなコンテンツを提供することもある。このため、外部のホスティングサービスでバックボーンが強力なサーバを利用することが多いという。このような場合では、Webサーバが出力するアクセスログを主体にして考えてしまうと、一定のサイト数を超えた時点でアクセスログをマージして解析することが現実的ではなくなる。
サービス提供を第一に考えれば、それぞれの会社にあったポリシーでWebサーバは運用されるべきだろう。しかし、統合アクセス解析こそが社の戦力へと結びつく原動力ともなるはずだ。このためにも、全社共通のアクセス解析基盤の構築は急務であったという。JavaScriptによるビーコンタグを埋め込む形式を持つSiteCatalystは、理にかなった選択だったのだ。
時枝氏は、SiteCatalystを選択した理由で次に大きな点は、Flashコンテンツにも対応できる点だと語った。
従来までのWebサーバによるアクセスログで考えた場合、Flashへのアクセス状況は1アクセスとして解釈される。このため、Flashコンテンツ内にさまざまなサービス内容を入れ込んだ場合、利用者がFlashコンテンツ内でどのような行動をとったかを把握することがまったくできなかったのだという。
このように、経路分析も把握できることはツールを選択する上で重要視したものの1つであると時枝氏はいう。特定のページを基点にして、幾つもの訪問ページや移動先のページなど、ユーザーがたどるページ履歴は重要な解析データになる。ただし、オリックスグループの場合には、各社のサービスによって「何ページ先までが把握できたらよいか?」 などのニーズがばらばらであるため、カスタマイズが可能な点も重視すべきポイントになった。
さまざまな視点でアクセス解析ができることはもちろん、柔軟性のあるカスタマイズが可能なことも求められていた。ツールを利用する際に誰もが扱いやすいビジュアルであることはもちろん、管理者がユーザーニーズに応えるためには設定のしやすさも重要視した点であり、このような要件は従来のツールでは困難なものだった。
現在では、各リンクのエレメントのクリック数やコンバージョン率などをオーバーレイの濃淡、または数値で表示するクリックマップや、Excelにツールバーをダウンロードすることによりシステムにログインすることなく、最新のデータをExcelに取り込むことのできるExcelクライアントなどを使うことで、これまでには見えなかったものが把握でき、新たなフィードバックを行う事例が2、3出始めているという。
アクセス解析データが蓄積されることこそ、Webサイト運用におけるアクセス解析の第一歩となる。最初のうちは、1カ月ごとの解析結果によって傾向を把握することが主たるものとなるだろう。しかし、1年程度アクセスデータが蓄積されることで季節ごとの傾向はもちろん、月ごとの傾向も分かってくるはずだ。SiteCatalystには、ページビューを始め、予測表示を行う機能も搭載されており、次なる段階へとサイト運営のフェーズを引き上げてくれるだろう。
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提供:オムニチュア株式会社
制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2006年9月30日