警察庁によると2006年のサイバー犯罪の検挙件数は、前年から40%増加し4425件。中でも不正アクセス禁止法違反の件数は前年の約2.5倍に当たる703件に急増した。
2006年のサイバー犯罪の検挙件数は、前年から40%増加し4425件。うち、パスワードを盗み取って他人になりすまし、不正操作/送金などを行う、不正アクセス禁止法違反の件数は前年の約2.5倍に当たる703件に急増したことが明らかになった。
警察庁が2月22日に発表した資料によると、依然として、インターネットオークションなど、ネットワークを利用した詐欺がサイバー犯罪の3分の1以上を占めている。一方で、性的被害にかかわる犯罪や不正アクセス行為が急増した。
特徴的なのは、犯行の組織化、高度化が進んでいることだという。
たとえば不正アクセス行為について見ると、IDやパスワードといった「識別符号」を入手する手段として最も多かったのが、フィッシングサイトの開設(220件)だった。これは、2005年にはわずか1件しか報告されていなかった。また、スパイウェアを用いる手段も33件から197件に増加している。
ほかにも、インターネットを利用して共犯者を募集したり、他人名義の口座を調達したりと、インターネットの特性を悪用した犯行の組織化、高度化の傾向が見られるという。
ただ一方で、パスワードの設定/管理の甘さにつけ込んだ不正アクセスも少なくなかった。IDなどから容易に推測できる安易なパスワードなど、利用権者の管理の甘さにつけ込む手口は178件、元従業員/知人などによる手口も49件に上っている。
これを踏まえて総務省などでは、フィッシングサイトやスパイウェアなどへの注意を怠らないよう留意するほか、「IDとまったく同じパスワード」「IDの一部を使ったパスワード」などを避け、かつパスワードを定期的に変更するといった対策を講じるよう呼び掛けている。
なお、2006年に各都道府県警の窓口で受理したサイバー犯罪などに関する相談件数は、前年の8万4173件から27%減少し、6万1467件にとどまった。ワンクリック詐欺を中心とする「詐欺・悪質商法」に関する相談が2万件以上減少したことが大きいと見られる。
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