キーワード検索の限界を打ち破るタイムトラベル検索よく効くエンタープライズサーチの処方箋(1/3 ページ)

インターネット検索に比べ、エンタープライズ検索に求められる条件は大きく異なる。一般的なキーワード検索での絞り込み技術にも限界があるという。それは、過去のある時点の状態を再現した検索が必要になったときだ。

» 2007年03月30日 08時00分 公開
[富永康信(ロビンソン),ITmedia]

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 日々増え続ける情報が更新され、複雑になったシステムによって情報の所在が分かりづらくなると、企業内でもインターネット環境と同様な検索手段によって情報を探し出すことが必要となってきた。それがエンタープライズサーチ登場のきっかけとなったわけだが、キーワードとなる商品名や専門用語が思い出せない、あるいは間違えて覚えていたり、キーワードの意味が大きく変わったことで、検索結果に無関係な情報やノイズが大量に引っかかってきてしまうなどの問題が起こっている。

 また、現在のエンタープライズサーチは、その網羅性と引き換えに、絞り込みのためのさらなるキーワードの連想を必要とする。これこそは、ユーザーにとって大きな負担と感じる部分だ。そのため、キーワード以外からも手がかりを得て効率良く情報を探し出すような技術が今、求められている。

時間的な記憶は覚えやすく手がかりとなりやすい

 そんな中、NECのシステムプラットフォーム研究所では、目的情報に関する時間的な記憶を基に効率的な情報検索を行う技術、通称「タイムトラベル検索」を開発。情報検索に「時間」の観念を採り入れて、過去にさかのぼった検索を実現した。

 同研究所のストレージシステム研究部長を務める菊地芳秀氏は、「求める情報に関係した時間的な記憶は、比較的覚えやすく、手がかりとなりやすい。そのため、期間を区切って検索を実施することで、求める情報により近い位置まで絞り込みが可能になる」と語る。

画像 NEC システムプラットフォーム研究所 ストレージシステムの菊地芳秀研究部長

 例えば、2005年末に販売した製品に問題が発生した場合、その調査の対象となる期間はその商品を製造した期間となる。その期間に限定して情報を絞り込めば、ノイズの少ない検索が実現できるわけだ(図1)。

図1 図1●時間を手がかりに検索する「タイムトラベル検索」(クリックで拡大)

 現時点で検索をかけると、大量のノイズと無関係な情報も引っかかるが、過去のある時点までさかのぼった検索やある期間を対象とした検索を実施することで、当時の状態を再現したり、対象時間の範囲内で生成/更新された情報へと絞り込めるという。

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