なぜブログを始めたのか、その継続の秘密――オルタナブロガー伊藤靖氏(1/2 ページ)

「オルタナティブ・ブログに書くことになったきっかけは、あるWeb2.0的な偶然からだった」(伊藤靖氏)

» 2007年05月04日 09時31分 公開
[伊藤靖,ITmedia]

本の内容更新と宣伝、それが始めたキッカケの1つ

 私がブログを始めたのは、2005年の11月。オルタナティブ・ブログ「おるたなてぃぶ思考+etc」を始めた時期は、決して早い方ではない。なぜなら、私の周辺に関していえば、ブログを始めている人間が大勢いて、もう珍しくもなんともなかったからだ。今思えば、私がブログを始めた2005年の末というのは、ブログがインターネット・ユーザーの間に急速に広がっていった時期だった。

 そうした周辺の動きが気にはなっていたものの、なかなかブログを始める踏ん切りがつかなかった私が、いったいどうしてブログを始めることになったのか。そのきっかけを作ってくれたのは、ちょうど同時期に発売された、私の3冊目の著書となるある一冊の本だった。

 タイトルは、『完全まるわかり読本 ネット業界・企業』。翌年のライブドア・ショックが起きる前の、当時最も勢いがあったネット業界を代表する上場企業33社の沿革、事業内容、業績などを詳しく解説した本だ。ところが、私にはある気がかりが一つだけあった。ネット業界は、毎日のように新しい情報が飛び込んでくるため、1カ月前の情報が何の価値も持たなくなっている可能性がある。ということは、本が発売される頃には、本の内容自体が古くなってしまっている可能性もあるということだ。

 本を執筆する人の立場からすれば、購入してくれた読者には、御礼の意味も込めて、できることなら毎日飛び込んでくるネット業界の最新情報を届けたいという思いがある。そして、それを実現するためには、ブログを活用するのがいちばん良い方法ではないのかと思ったのだ。ブログであれば、コストをかけることなく、毎日ネット業界の最新情報を読者に届けることができる。そして、それが少しでも本の宣伝になれば、まさに一石二鳥だ。

 私のブロガーとしての第一歩は、こうしたちょっと不純な動機から始まった。その頃の私のブログは、今のように自由に書きたいことを書くといったスタイルのものではなく、ネット業界の最新ニュースを紹介しながら、それに私のコメントを付け加えるというスタイルのものだった。また、当初利用していたのは、現在のオルタナティブ・ブログではなくアメーバ・ブログであったことも付け加えておく。

オルタナティブ・ブログとの出会いはWeb 2.0的な偶然で

 そんな私が、オルタナティブ・ブログにブロガーとして記事を投稿するようになったきっかけは、あるWeb2.0的な偶然からだと言ってもよいだろう。

 実は、オルタナティブ・ブログに記事を投稿するという取り組みは、オルタナティブ・ブロガーの1人でもあり、同じ高校に通っていた同級生でもある今泉大輔氏(シリアルイノベーション)に紹介してもらったのだが、その今泉氏との再会からして何ともWeb2.0的だったので、ここで簡単に紹介しておくことにする。

 2006年初頭のライブドア問題が起きてから、私のブログのスタイルも少しずつ変わっていった。それまでのネット業界の最新ニュースを紹介するといったものから、Web 2.0を中心にした新しい技術やサービスを紹介し、それに自分なりのコメントを付け加えるといったものに少しずつ変わりつつあった。

 そんなある時、オルタナティブ・ブログでWeb2.0に関する興味深い記事を見つけた私は、早速そのブログにトラック・バックを張った。すると、数時間もしないうちに、そのトラック・バックを張った記事を書いた相手からコメントが返ってきたのだ。

 その内容はといえば、「おう、伊藤君。久しぶり。面白いブログだね」という馴れ馴れしいもの。おまけに、コメントを書いた相手の名前にも聞き覚えがあった。そう、その相手というのが、何と今泉氏だったのだ。

 恥ずかしいことに、私は、ブログの内容だけから判断してトラック・バックを張っていたため、書いた人間が今泉氏だということにまったく気がついていなかった。そのブログを書いた人間が、どんな人間かということにそもそも関心がなかったのだ。ところが、今泉氏の方は、ちゃんとトラック・バックを張ってきた私のことを確認した上で、コメントを返してくれたのである。

 その後はトントン拍子だった。私のブログを読んでくれた今泉氏が、紹介してくれたことが縁となり、オルタナティブ・ブログでブロガーとして記事を書くことになったわけだ。実は、今泉氏と私は、高校の同級生という旧知の間柄だったにも関わらず、私が今泉氏のブログにトラック・バックを張るまでの5年程度の間、連絡が途絶えていた。ブログが、久しぶりに2人を引き合わせてくれたと言ってもよいのである。

 もしも、私も今泉氏も実名でブログを書いていなかったとしたら、そして、もしも私が今泉氏のブログにトラック・バックを張ることがなかったとしたら、今こうしてオルタナティブ・ブログにブログを書いているようなこともなかっただろう。

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