攻殻機動隊の世界がここまで現実に――バーチャルリアリティ最前線 (1/2)

開催中の産業用バーチャルリアリティ展(IVR展)では、3D映像に“触れる”ことができる「Tangible-3D技術」など、未来を感じさせる展示が多く存在する。ここでは厳選して3つ取り上げよう。


 6月29日まで東京ビッグサイトで開催されている産業用バーチャルリアリティ展(IVR展)。併催されているDMS展やM-Techと比べるとフロア面積は微々たるものだが、そこにはバーチャルリアリティの世界、しかもその最新動向が詰まっている。ここでは、特に気になった3つのブースについて紹介しよう。

触感までもバーチャルに再現

 特に注目度が高かったのは、旭エレクトロニクスのブース。ここでは、6月20日にNTTコムウェアが発表した「Tangible-3D技術」のデモが行われていた。

 このTangible-3D技術。リアルタイムの実写3D映像に“触れる”ことができるというもので、仕組みとしては、被写体をステレオカメラで撮影、そのデータの3D映像合成と触感情報抽出を行う。ユーザー側では、3D映像合成されたデータを裸眼立体視ディスプレイに表示するとともに、触感情報を触感デバイスで再現(フォースフィードバック)するというもの。

DSC_1243.jpg 仕組みとしてはこのような感じ。分からない? では以下をお読みください

 分かりやすく言えば、仮想的にデータ化されたものを裸眼立体視ディスプレイで3D表示し、触感デバイスとともに用いることで、視覚と触感を再現するというもの。遠隔地の物体を目の前にあるかのように触れるという体験を可能にするのだ。この技術のすごいのはこうしたデータをネットワークに乗せて配信すれば、遠隔地であっても(タイムラグは生じるかもしれないが)、疑似的な触感再現ができるということだ。

握手握手 ディスプレイ上の手が2重に見えるのは裸眼立体ディスプレイのため。この状態で、記者の指には結構な応力がかかっている。ちなみに、最初担当者が触感デバイスの電源を入れ忘れており、まったく応力が発生していなかったにもかかわらず、多くの人が見ているからとさも応力がかかっているかのように、「ほうほう、これはすごいですね」みたいな顔(とリアクション)をしてしまった記者。実際は結構な応力がかかります。29日まで開催しているのでぜひ試してみてほしい

 用いられていた触感デバイスは、Immersionの「CyberForce」で、これはすでに発売されている。もともとはユーザーの手指確度の3次元位置をセンシングするなどの目的だったが、今回は逆転の発想で、データを渡すことで指先の触感再現を行おうとしたものであるといえる。

 実際に試してみると、隣の座る人物の手がカメラで撮影され、それがデータ処理さたものが、目の前のディスプレイに映っている。それに触れるようなイメージで手を伸ばすと、ある部分で突然応力が発生する。手が触れたということか。ならばと、手にギュッと力を入れてみると、握手しているかのような圧力が手にかかる。さらに、その状態で相手が手を左右に振ると、自分の手も左右に動かされる。

 しかし残念ながら、こちらがギュッと握り返したところで、被写体側は何も感じない一方向の触感再現にとどまる。被写体側は触感デバイスを装着しているわけではないので当たり前といえば当たり前だが、ではお互いが触感デバイスを装着すればよいのかといえばそうでもない。これには、各種データ、特に3Dデータが膨大なことが大きな原因として挙げられる(1秒間に100メガバイトにも迫ろうかというデータ量とも)。今回のデモで、あえて遠隔地の被写体の触感再現を行わなかったのはそうしたネットワーク的な部分での問題があるものと推測される。とは言え、そうした問題はブロードバンド化やオブジェクトデータの圧縮などで解決し得る話である。近い将来、遠方の母親が遠隔地に住む息子夫婦の孫を抱く、といったことも移動なしで可能になるに違いない。

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