このハードウェアはLinuxで使えるだろうか?――その調べ方Beginner's Guide

あるコンピュータでGNU/Linuxが動くかどうかを調べるには、それぞれのハードウェアについてGNU/Linuxの対応状況を調べる必要がある。ここでは、その作業に役立つ資料が幾つか紹介しよう。

» 2007年08月17日 08時44分 公開
[Bruce-Byfield,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine

 あるコンピュータでGNU/Linuxが動くかどうか――それを判断するには、そのコンピュータを構成するハードウェア1つ1つについてGNU/Linuxの対応状況を調べるというきわめて厄介な作業が必要になる。できあいのコンピュータを買うのではなく自分で組み立てる場合も、事情は同じだ。どちらにしても、使用するビデオカード、サウンドカード、プリンタ、スキャナ、デジタルカメラ、ワイヤレスカード、モバイル機器がGNU/Linuxで使えるかどうかを調べなければならない。しかし、幸いなことに、その作業に役立つ資料が幾つかある。

 確かに、GNU/Linuxのハードウェアサポートはここ10年で劇的に向上し、今では、どのコンピュータシステムでも、お好みのディストリビューションがそのまま動く可能性は大いにある。とはいえ、まだ対応できていないハードウェアも多く、購入する前に調べておくのが賢明というものだ。

 また、サポートされているのが当然のハードウェアも多くなった。マザーボード、ハードドライブ、キーボード、マウス、ネットワークカード、DVDドライブ、フラッシュドライブの多くは、GNU/Linuxでも問題なく動作する。しかし、ドライブについているボタンではなくソフトウェアで操作するタイプのハードウェアについては注意が必要だ。操作のためのソフトウェアがWindowsあるいはMac OS Xを前提に設計されていると思われるからだ。もっとも、ちょっと考えれば、その種のハードウェアは却下することになるだろう。例えば、ソフトウェア駆動型DVDドライブの場合、そのDVDからシステムを起動するには何度かリブートを繰り返すことになるのだから。

 このように状況は改善されているものの、ハードウェアが使えるかどうかは、多くの場合、依然として賭だ。Webサイトはもとより、パッケージに GNU/Linux対応を明記しているメーカーはほとんどなく、インターネットが唯一の情報源になるからだ。Webを検索すれば数十件の情報が見つかるだろうが、その多くは古いか不完全で、整理するには長い時間が必要だ。しかも、正確には専門家にしか分からない業界用語満載でちんぷんかんぷんなものも少なくない。

 そこで、カードや周辺機器に関する最新情報が得られるサイトをまとめてみた。掲載されている情報は漠然としたものから網羅的なものまでさまざまだが、わたしの知る限り最も簡潔にして充実した情報源である。

ビデオカード

 特定のビデオカードがサポートされているかどうかについて調べる場合、情報源は2種類ある。フリーなドライバについてはX.orgのサイトにある対応カード一覧、プロプライエタリなドライバについては各メーカーのサイトだ。大概は、ビデオカードのトップメーカー2社、NvidiaATI(現AMD)のプロプライエタリドライバを調べることになるだろう。Nvidiaのカードについては、Nouveauプロジェクトがフリーのドライバを開発しているので、ここも情報源の1つになる。また、AvivoプロジェクトがATIのR500/R600シリーズのためのフリーのドライバを開発しているが、まだ成果は出ていない。

 それでは、フリードライバとプロプライエタリドライバの両方があるとき、どちらを採用すべきだろうか。フリーソフトウェアの理念に準ずる人もいようが、おおかたは、サポートされている機能を考慮するだろう。概して言えば、ATIやNvidiaのカード向けフリードライバは3Dをサポートしていないことが多い。一方、ATIのプロプライエタリドライバは遅くてバグだらけ、Nvidiaのものは速いが品質にばらつきが多い。要するに、十分に満足できるものはないということだ。

 もう1つ、使用予定のディストリビューションがどのようなドライバを提供しているかも考慮すべきだ。LinspireやXandrosなどの商用ディストリビューションでは、プロプライエタリなドライバを提供していることが多い。一方、Ubuntuでは基本的にフリードライバを使うが、同梱されているRestricted Drivers Managerを使えばプロプライエタリなドライバをインストールするのも容易だ。Debianの場合はリポジトリーにプロプライエタリなドライバを扱うコーナーがある。Fedora 7は、Nvidiaカード向けのフリーNouveauドライバを早くから提供している、といった具合だ。提供されているのがどのようなドライバであるにしても、使用を予定しているディストリビューションの標準パッケージ形式やリポジトリで提供されているものを使うのが一番の早道だろう。

サウンドカード

 サウンドカードの利用者向けに十分な情報を掲載しているサイトはなく、あちこちを調べることになる。まず、Linux Soundに、簡潔にまとめられたGNU/Linuxで使えるサウンドカードの概要がある。メーリングリストLinux Audio Developersを探してみるのも一法だ。

 現在流通しているディストリビューション向けにサウンドサポートを提供するプロジェクトAdvanced Linux Sound ArchitectureのSoundcard Matrixも有用な情報源だ。この表はWikiに移行中で、2007年5月5日を最後に変更されていない。しかし、この原稿執筆時点では移行はまだ完了していないため、しばらくは、この古い表を頼ることになる。開発者向けのため各ドライバの詳細な情報があるが、一般利用者にとっては特定のカードが掲載されているかどうかが最大の問題だ。記載があり、備考欄にサポート状況に関する記述のないドライバは、現在流通しているディストリビューションであれば使えるだろう。

プリンタ

 PostScriptに対応しているプリンタは、少なくとも基本機能は使える。これはHewlett-Packardのフリードライバのお陰だ。購入に先だって詳細な情報が欲しい場合――特に複合機の場合――は、Linux FoundationのOpenPrintingプロジェクト(旧LinuxPrinting.org)によるPrinter Compatibility Databaseがお勧めだ。

 プリンタに関する情報源としてはこのデータベースはほぼ完璧で、ほとんどのプリンタが掲載されており、モデル、メーカー、ドライバで検索可能。各モデルに対するサポートは、Perfectly(完全に使用可能)、Mostly(ほぼ完全に使用可能)、Partially(ほぼ使用不可)、Paperweight(完全に使用不可)という4段階で簡易表記されている。プリンタごとに使用可能なドライバに関する情報があり、詳細な構成法、サポートされる解像度、利用者の意見なども記載されている。このデータベースとは別に、Suggest Printersというページもある。カラーインクジェット機、モノクロレーザー機、カラーレーザー機、高性能レーザー機別に、要件と予算に応じた推奨メーカーとモデルが示されている。これは主としてOpenPrintingフォーラムでの報告を基にしているため、フォーラムを調べればより詳しい情報が得られる。

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