入社までに「浮気」はさせない ≪前編≫有能社員をとらえよ、手放すな! デキる逸材の「獲得術」(1/2 ページ)

「売り手市場」の新卒採用――内定を与えたからといって翌春入社してくるという保証はなくなっている。その対策として、SNSが活用されている――。

» 2007年09月03日 06時00分 公開
[アイティセレクト編集部]

 6月も終わりに差し掛かったころ、ワイキューブでは東京にある本社に2008年春入社予定の30人ほどが集められ、研修が実施された。その際、内定者らには専用のコミュニティーサイト(SNS)が用意されていること、一週間以内にログインするためのIDとパスワードがメールされることが伝えられた。入社までの数カ月間だけ設置されるそのSNSを使う趣旨や活用の仕方も時間をとって説明された。

 それから約一週間後、SNSは一挙に動き始めた。研修の一日しかお互いに顔を合わせていない彼ら同士のコミュニケーションはどんどん活発化。内定者同士で飲み会などを開くようになった。7月に入ると、参加者を募ってキャンプに行くグループまで「出現」。その思い出も、SNSに写真付きでアップされた。

外販ソリューションをヒントに

 こうした内定者SNSはここ2、3年、密かなブームになっているといっていい。ソリューションとしてベンダーが提供していることもあり、大小問わず多くの企業で取り入れられている。とりわけ、人材ビジネス系の企業での取り組みが目立つ。ここ数年、飛躍的に成長を遂げているワイキューブもその一つである。

 人材コンサルティングを中心に、全国8拠点(東京に2拠点)で事業展開を図るワイキューブは、独特な社風でよく知られる。社内にはワインセラーやビリヤード台の置かれたバーなどがあり、マスコミにもよく取り上げられている。応接室などは、「豪華」と呼ぶにふさわしいつくりで、昨今の「セレブ」ブームを演出しているかのようだ。代表取締役の安田佳生氏も企業家の先駆けのような存在で、各メディアに登場する有名人だ。

東京本社のサロン(受付)
会議室

 ワイキューブが得意とする人材コンサルティングは新卒採用だ。2004年に学生向け就職情報サイト「就職コンパス」を開設。2005年6月には、当時日本でも普及しつつあったSNSを活用し、就職活動中の学生を対象にしたコミュニティーサイト「Commune」(コミューン)の提供も開始した。そこから、ワイキューブ自身の新卒採用にSNSを使うことを思いつく。当時はまだ、SNSで内定者をフォローするといった取り組みなど世間で騒がれていなかった(「就職コンパス」「Cummune」ともに、現在はサービスされていない)。

       1|2 次のページへ

Copyright© 2011 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ