通信と放送の融合に向けて――SFCと経団連が共同プロジェクトORF2007事前リポート

2011年のアナログ放送終了に伴い、総務省は通信と放送のあり方について法改正を進めている。この新法案に対してSFCと経団連は共同研究プロジェクトを立ち上げ、新たな政策を提言する。

» 2007年11月21日 11時00分 公開
[伏見学,ITmedia]

 慶應義塾大学SFC研究所主催の研究発表イベント「慶應義塾大学SFC Open Research Forum 2007」が11月22、23日に開催される。2日間で計37セッションが予定されており、さまざまなテーマで議論が展開される。

 22日には、「通信と放送の融合をデザインする」というテーマのセッションが用意され、SFCと経団連21世紀政策研究所の共同プロジェクトによる研究中間報告が発表される。同プロジェクトは、2010年をめどに総務省が通信産業と放送産業の融合に関する新法を作ることに対し、その内容について民間側から政策提言をするというもの。

 そこで、同セッションの代表者である慶應義塾大学 政策・メディア研究科准教授の土屋大洋氏に話を聞いた。

 総務省の推進する新法では、通信と放送を「縦割り」にしている現在の9法制度を、「伝送インフラ/プラットフォーム/コンテンツ」という3階層からなる「横割り・レイヤ方式」に再整備する案が提示されている。

 「縦から横になった以外にさほど変化は見られない。この新法案に対し疑問を持ったのがプロジェクトの始まり」と土屋氏は語る。

 同プロジェクトの政策ポイントについて、土屋氏は「放送局をどうするか、新しいビジネスをどうするか」という2点を挙げた。

 「通信と放送が融合すれば、地方局などの零細事業者はNTTなどの巨大通信事業者に取り込まれる可能性が高くなる。しかし、現在のように硬直化した放送業界のモデルを変えるためには、ある程度の競争力を市場にもたらすことが必要だ」という。

 「例えば、英BBCはチャンネル免許と電波免許を分離し伝送部分は第三者にアウトソースしている。また韓国では、主要放送局や一部ケーブルテレビの番組がストリーミング放送されており、ネットでもリアリアルタイムで観ることができる。こうしたビジネスモデルを日本でも導入できれば面白い」と述べた。

 なお、当日のセッションでは、ヨーロッパや韓国の通信・放送事情が紹介されるという。その上で今後日本が取るべき道について議論される予定だ。

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