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» 2008年02月29日 08時16分 UPDATE

Technology Investment Symposium:米国のIT支出は鈍化傾向――Goldman Sachsの予測

Goldman Sachsでは米国のIT支出に関して悲観的な見通しを示している。しかし、ITベンダー各社によると、米国の景気減速が必ずしも自社のビジネスに影響を与えるわけではないという。

[Renee Boucher Ferguson,eWEEK]
eWEEK

 Goldman Sachsでは、2008年の米国のIT支出に関して厳しい見通しを示している。

 ラスベガスで開催されたGoldman Sachs主催の「Technology Investment Symposium」において、米国市場のIT支出の伸び率は2007年の7%から今年は5%へと2ポイント低下するとの見通しを同社アナリストらは示した。

 一方、同シンポジウムでプレゼンテーションを行ったソフトウェア企業の幹部たちは、米国経済の低迷が自社のビジネスに悪影響を及ぼす心配はないとしている。

 MicrosoftやHP、さらにはTataやAccentureといった広範なITベンダーならびに小規模企業の幹部らによると、IT投資に関しては米国経済の影響が多少見られるものの、全般的には懸念材料は少ないという。

 Global Paymentsのポール・グレーシア会長兼CEOは、「景気後退にもプラス面がある。それは弱い企業が淘汰されるということだ。これは優れたバランスシートを持った企業にとっては良いことだ。良い企業にとって良い景気後退ほどうれしいことはない」と話す。

 Goldman Sachsのアナリストらによると、IT支出の減速の理由は幾つかの要因に集約されるという。GDP(国内総生産)の伸び悩み、末端市場における支出縮小、そしてCIOの警戒心である。

 Goldman Sachsの技術調査部門の副事業部長でソフトウェア分野の主任アナリストを務めるサラ・フライアー氏は、「われわれはIT支出に関して、やや悲観的な見通しを抱いている」と語る。

 「これは主としてGDPの伸びの低下によるものだ。GDPはITと密接に関連している。その一方で、IT分野では好感すべき材料もある。1つがグローバルでのIT支出の増大である。さらに、M&A(合併・買収)の力強い動きも追い風となっており、特にソフトウェア分野ではこの傾向は無視できない」と同氏は指摘する。

 GDPは一般に、一定期間内(通常は1年間)に国内で生み出されたすべての最終製品とサービスの市場価値の総額として定義される。

 Tech Symposiumでリリースされた「Technology State of the Union」レポートの中でGoldmanは、「IT支出の伸び悩みは避けられない見通しだが、伸び率がマイナスに転じる可能性は低い」と述べている。同レポートによると、最近の景気減速の影響を予測する上で参考となる歴史的視点を与えてくれる過去2回の下降局面――2000〜2001年のドットコムバブルの崩壊および1990〜1991年の景気後退――のうち、2008年に予想される状況に類似しているのは後者だという。

 「この数年間、IT支出はGDPの伸びをわずかに上回っているだけであり、この期間中の過剰投資は少なかった――実際、バブル後のITバイヤーたちは概してコスト意識が非常に高くなっている。このため、IT支出の伸びがGDPの伸びを大幅に下回ることは考えにくい。当社のエコノミストたちは、2008年の名目GDPの成長率を3.5%と予測している。Goldman Sachs Researchの予想では、実質GDPの成長率は2007年の2.2%から2008年には0.9%に低下する見込みだ」と同レポートは述べている。

 HPのマーク・ハードCEOは、Goldmanの悲観的な予測に同意しながらも、米国経済における支出低下の影響がHPに強く感じられることはないだろうとしている。ハード氏によると、その理由は主として、HPが既に独自のコスト削減を進めていることと、同社がグローバルな企業であることだという。

 「われわれはマクロ環境の状況にかかわらず、不要なコストを徹底的に切り詰める方針だ」とハード氏は2月26日のキーノートスピーチで語った。「当社の効率化を進めるという意味でマクロ環境を意識することはない。われわれはそのような考え方をしない。マクロ環境にかかわらず、われわれはコスト削減のためにあらゆる手段を追求しているのだ」。

 ハード氏によると、HPの直近の会計四半期には米国の消費者の間で購入を手控える傾向も見られたが、同社のグローバルビジネスに影響を与えるほどではなかったという。「大きな変化があったというほどではなかった。しかしわれわれが感じられる程度ではあった」と同氏。

 Accentureのサンダー・バントノーデンド上級副社長によると、同社も下降気味の経済状況の中で好調な業績を維持しているという。バントノーデンド氏の部署は、エネルギー、ガス、公共事業、化学、天然資源、紙・パルプなどの業界の顧客を担当している。同氏によると、これらの業界でIT支出を牽引している要因は幾つかあり、その中でも最大の要因はグローバリゼーションだという。「ShellやBPなどの企業は、垂直統合型の組織化を進めており、世界中どこでも同じ事業モデルを導入している」と同氏は話す。

 さらにバントノーデンド氏によると、グローバリゼーションは米国と欧州の企業だけで起きている現象ではなく、中南米、オーストラリア、ロシア、中東などでも起きているという。Accentureの顧客はそれと同時に、それぞれの業界に固有の変化を経験している。「当社の顧客はエネルギーの生産者もしくはエネルギーの大口消費者である」と同氏は話す。

 バントノーデンド氏によると、Accentureの顧客の多くは、SAPへの投資の拡大などをはじめとする巨額の新規投資を最適化したいと考えているという。「彼らは、こういった投資を管理するために手助けを必要としている」(同氏)

 「われわれは、これらのプロジェクト管理するためのプログラムとITインフラを提供している。これは新規プラントを建設するのとは違う。いわば新しい組織を築き上げるようなものだ。例えば、ウズベキスタンの石油会社と共同事業をする場合、新たな組織を立ち上げることになる。そこでIT投資を最適化する際に、彼らは支援を必要とするのだ」(同氏)

 Tata Consulting Servicesの銀行金融サービス部門のクライアントパートナー、S・サンバマーシー氏によると、同社も景気減速の中で(むしろそのおかげで)潤っているという。Tataのビジネスの主要な牽引力の1つが、金融サービス業界における再編の波である。この業界のTataの顧客は、自社のIT環境のベンダー数を減らしたいと考えている。

 例えば、顧客の大手金融機関の中には、昨年、IT支出が減少したところもあったが、Tataとの取引は増加したという。「これらの企業ではサプライヤーが細分化しており、彼らは支出先を統合したいと考えていた」とサンバマーシー氏は話す。「それと、彼らの従来の選択肢はオフショアリングだった。われわれはこういった顧客に対して、南米での開発拠点を大幅に拡大した。こういった新たな拠点を認定するというのは、非常に息の長いビジネスなのだ」。

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