ソフトウェアも“Cool Japan”と呼ばれたい――新しい挑戦が新しい成功を生むNext Wave(1/2 ページ)

日本のソフトウェア産業は高い潜在能力を持っている。それを最大限に引き出すには、新しい挑戦を後押しする仕組みづくりが必要になる。

» 2008年05月09日 15時51分 公開
[幾留浩一郎,ITmedia]

国際競争力の低い日本のソフトウェア

 ビジネス向けのソフトウェアに関して、海外からの輸入は約9000億円に対し輸出は約90億円となっている。JIETA(社団法人 電子情報技術産業協会)の調査は毎年行われているものではないため、時系列での比較がしづらいが、2002年7月に発表された「ソフトウェア輸出入統計調査2000年実績」によると、102倍の入超と圧倒的に劣勢であり、この格差はさらに拡大傾向にあるといわれている。8年前の実績数値が発表されて以降、他の機関で発表されている調査でも、その傾向ははっきりと表れているようだ。つまりビジネス分野では日本製のソフトウェアは世界でまったく競争力がないのである。

出典 JIETA 「ソフトウェア輸出入統計調査2000年実績」

 約510兆円という日本のGDPからすれば、9000億円の輸入は金額的には大したことはないのかもしれない。しかし、ご想像いただきたい。もしも輸入額を大きく占めるOracleやMicrosoftの製品が突然止まったらどうなるだろう? 電車も動かなければ電話も通じなくなり日本社会全体はたちどころにブラックアウトに陥ることになってしまうであろう。

 無論これは現実にはあり得ない荒唐無稽な想像である。しかしそこをあえて想像することで、ソフトウェアは、知らず知らずのうちに極めて重要な社会基盤となっていることを強く感じていただけると思う。

 つまり、石油に匹敵するくらい重要な資源として、ソフトウェアは社会のインフラ基盤を担っているといっても過言ではない。ところが、日本という国は、そのインフラ基盤の中枢部品となってしまっているソフトウェアを自国で作れていないのである。そのほとんどを外国、主に米国に依存していることは、調査結果を見ても自明の理。この事実を前にすると、憂うつな気分にさせられてしまう。

どうしてここまで弱いのか

 憂うつな気分になってしまう原因は、「どうして日本はビジネス向けソフトウェア分野で、ここまで弱いのか」という疑問から来る。素朴な疑問と言ってもいい。日本法人も設立している海外企業を侵略者呼ばわりしたいのではなく、グローバリゼーションの時代を全否定したいわけでもない。

 昨年ヒットしたTransformersというハリウッド映画の中で、突然目の前に出現した精巧な巨大ロボットを見た青年が思わず、「これは日本製に違いない」とつぶやくシーンがある。

 家電や自動車などを中心に、優れた日本製品は世界中を席巻しており、その製品力は非常に強い。また最近では米国でもTVのチャネルを回しているとほとんど毎日どこかのチャネルで日本製アニメを見かけるようになった。ゲームやアニメなどのコンテンツ産業も世界に通用する普遍的な価値として評価が高まっている。つまりこれらは海外では、“Cool Japan”として魅了しているのである。

 日本は、これだけいろいろな産業分野でチャンピオンチームを抱える国であることは確かであり、自信に思っている。にも関わらず、ソフトウェア産業は「地区予選」にさえ出られないくらい弱小なのである。このギャップは何なのか、という素朴な疑問が出てきてもおかしくないだろう。

 家電、自動車、アニメといった分野でこれだけ賞賛されていて、一方、社会のインフラ基盤を支える産業であるソフトウェア産業が、過剰ともいえる入超となっている状況は、おそらく日本人ならずとも不思議に思うのではないか。さらに状況が少しずつでも好転しているかといえば、そうではなく、最近では中国などの台頭からさらなる空洞化も嘆かれている。

 なぜここまで弱いのだろう。日本人はソフトウェア分野ではまったく能力がないのであろうか?と不思議に思わずにいられない。

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