コラム
» 2008年12月18日 07時00分 UPDATE

Next Wave:新しい「人脈力」をつけるための10カ条(後編) (1/2)

前編に引き続き、データセクション代表取締役の橋本大也氏が自身の経験から考察した、ソーシャルネットワークを企業の知識経営に役立たせるための10の理論について紹介していきたい。

[富永康信(ロビンソン),ITmedia]

友達を作るなら150人まで?

 前回、構造的空隙の理論のところで橋本氏が「人脈は量より質が重要」と強調したことを紹介したが、同様に仲間は増やせば増やすほど良いというわけではないという理論が、5つ目となる「適正規模150人説」だ。

 この150人という根拠は、英国の霊長類学者であるロバート・ダンバー氏がさまざまな地域や組織で人間がどれぐらいの規模の集団で生活しているかを調査した結果、現代の人間が共同生活できる適性規模を150人程度と結論付けたことによる。軍隊や企業のプロジェクトチーム、宗教組織などでも150人が効率的な機能単位とされ、個人的なつながりや信頼関係を維持する上での適性規模というわけだ。

 人は、1000人も1万人も無限につながることはできるが、個々の人々へ影響を与えたり自分へのフィードバックを受けたりするためには、まさに"ともだち100人できるかな♪"というあたりが限界と考えるべきなのかもしれない。

 6つ目が、少数のハブ型人間が影響力を強めていくという説。これを橋本氏は「BAモデル(バラバシ=アルバートモデル)の理論」として紹介した。ルーマニア人の理論物理学者アルバート・ラズロ・バラバシ氏がレカ・アルバート氏とともに1999年に発表したもので、スケールフリー性(一部の人は多数と関係を持つが、大多数の人は限られた関係にとどまるということ)のグラフを生成する代表的な数学モデルのひとつ。

 「BAモデルには優先的選択という傾向があり、新たに構成員が増加し続けて成長していくコミュニティーでは、新規参加者は知り合いの多い有力な人(ハブ型の人物)につながっていこうとする心理が働くため、スケールフリー性がますます強まるという傾向がある」と説明する橋本氏は、早期にネットワークに加入した人が有利な立場に立つ場合もあるという。

秘密の場の共有感が新たなアイデアを生む

 7つ目に示されたのは、「見えざる大学(Invisible college)の理論」というもの。特定分野で傑出した研究者の間に形成される、私的な情報交換が成立している関係の中で、最先端の情報が取り交わされるという説。もとは17世紀の英国王立協会の創立時の研究者たちのことを称したが、デレク・J・デソーラ・プライス氏(1922-1983)が現代の科学者たちの間でも同様なインフォーマルのコミュニケーションが成立し、多大な影響力を及ぼしていると唱えた。

 企業や大学、学派も異なり公式のつながりはないものの、リスペクトし合う間柄だからこそ成立するコミュニティー。そんな見えざる大学が企業内にも存在しうる。自主的な勉強会や研究サークル、異業種交流会、あるいはゴルフコンペ、たばこ部屋といったものだ。しかも非公式のコミュニティーほど情報密度が高いという。公式の掲示板は閑古鳥でも、勝手サイトや裏サイトは情報交換が活況するように、秘密の場の共有感が新たなアイデアを生むのかもしれない。

hashimoto2.jpg 「今後は『Being Digital』から『Being Social』の時代となる」と語るデータセクション代表取締役の橋本大也氏

 8つ目の理論が、日本家屋に見られる襖や障子、暖簾などの知恵を組織の風通しに利用するという「日本家屋のしきりの知」。音や光、雰囲気を完全に遮断しない日本家屋を参考に、現場のネットワーキングの創意工夫をある程度黙認しようというもの。例えば、原則禁止としている外部のASPサービスやフリーソフトなどをプロジェクト単位で活用しているのを、見て見ぬふりをしたところほど、ナレッジマネジメントにおいて高い生産性を上げていた例がある。もちろん、内部統制とのバランスが難しいことは言うまでもない。

 橋本氏は、「オフィス設計も従来の管理者が労働者を監視しやすい配置から、作業の流れやコミュニケーションを重視した配置へと変化している。最近は物理的なしきりよりも情報のしきりが重要になってきた」と指摘する。

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