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» 2009年01月09日 09時30分 UPDATE

「2009 逆風に立ち向かう企業」日産自動車:日産自動車の新たな“挑戦”――「日産GT 2012」 (1/2)

2008年5月に発表した決算で、2009年3月期の連結純利益が2期ぶりの減益に転じると発表した日産自動車。そんな同社を新たな成長軌道に乗せるために策定された5カ年計画が「日産GT 2012」だ。

[岡崎勝己,ITmedia]

5%の売上拡大を目指す「日産GT 2012」

 日産自動車が2008年5月に発表した決算は、厳しい経営環境を如実に表すものとなった。その内容は、販売台数こそ過去最高、対前年度比8.2%増の377万台を記録したものの、2009年3月期の連結純利益は原材料高などの影響により、対前期比29%減の3400億円と、2期ぶりに減益に転じると予測。信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に端を発した世界的な景気後退により、状況はさらに深刻さを増しつつあるのはほぼ間違いのないところだ。

 こうした中、同社が新たに公表した5カ年計画が、売上高を5年間で平均5%引き上げることを柱に据えた「日産GT 2012」だ。日産自動車は経営危機に瀕して以来、カルロス・ゴーン社長の下、「日産リバイバルプラン」「日産180」「日産バリューアップ」といった経営計画を遂行するとともに、事業を支えるITにもてこ入れがなされてきた。景気のさらなる悪化が予測されている中にあって、果たして同社はこの状況をいかに切り抜けようとしているのか。日産自動車の執行役員でCIOグローバル情報システム本部長を務める行徳セルソ氏に話を聞いた。

新たな飛躍に向けた“5つ”の目標

日産自動車の行徳セルソCIO 日産自動車の行徳セルソCIO

ITmedia 「品質向上」「ゼロエミッションカーへの注力」「事業拡大」「市場拡大」「コスト削減」を柱とする中期経営計画「日産GT 2012」を2008年5月に新たに発表されましたね。

行徳 今回の世界同時不況の影響は非常に深刻です。一番厄介なのは、問題が企業の中にあるのではなく金融市場にあるところでしょう。各国政府の考えも微妙に異なり、ローンを受け入れる国もあれば、そうでない国もある。

 とはいえ、新たな飛躍のためにも当社は「日産GT 2012」について全社をあげて取り組んでいる。まず、品質とゼロエミッションカーに関して言えば、どんな不況の中にあっても、自動車メーカーはその実現に向け投資していくことが求められています。そこで前者では、ユーザーの欲しい車を提供することを主眼に現在、顧客とのタッチポイントの改善に向けたアクションを進めています。後者では2010年までにはハイブリッドカーの商品化にこぎつける計画です。

 事業のさらなる拡大に向け、米国のインフィニティをエントリーカーと位置付け、実に低価格でグローバル展開しようとも考えています。インドのタタ・モーターズの関係者と話したのですが、エントリーカーのグローバル展開を計画している企業は今のところ日産とタタしかありません。ハイブリッドカーとエントリーカーで成功できるか否かが、今後の当社の命運を分けると言っていい。

 もちろん、市場の拡大が世界的に緩やかになってきたことから、市場の見直しも欠かせず、仏Renaultと共同でコスト削減も進める予定です。

ITmedia 計画を遂行するために、何が求められているのでしょうか。

行徳 一言でいえば“変化”への対応力にほかなりません。それは従業員の意識とマネジメントの双方に共通して言えることです。当社ではこれまで、その実現に向け各種の仕組みを整備してきました。マトリックス型の組織体制もその1つです。こうした体制をとることによって、各リージョンのみならずグローバルな視点で生産台数を調整でき、長期的な視野に立った投資を行えるようになっているのです。

 また、業務改善プログラムの「CFT(クロス・ファンクショナル・チーム)」により、「販売・マーケティング」「研究開発」「製造・物流」「組織と意思決定プロセス」など、9つのテーマに分けて部門横断的に人材を集めたチームを組織したことで、部門やリージョン間のコミュニケーションを円滑化することができました。

 協力会社を巻き込んだ新たなビジネスの模索も続けています。例えばインドの協力工場とは、当社と連携したシナジー効果によって何が可能になり、そのために両者で投資できる分野がないかといったことまで踏み込み、新たなビジネスモデルを構築するために議論しているところです。

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