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» 2009年01月20日 08時30分 UPDATE

アナリストの視点:クラウドコンピューティングはSIerを「Service Integrator」にする (1/3)

クラウドコンピューティングやXaaSの台頭に伴い、ISVやシステムインテグレーターは、パッケージ製品や自社開発のシステムとクラウドをどう切り分けて運用するかを総合的に俯瞰する視点が必要になるだろう。

[岩上由高(ノークリサーチ),ITmedia]

 クラウドコンピューティングやXaaSは、2009年も引き続きIT業界の台風の目になりそうだ。

 クラウドコンピューティングやXaaSは、システムの構築や運用形態の選択肢の1つを示すもので、どんなシステムをどのように構築・運用するかが重要な論点になる。これまでは、クラウドコンピューティングやXaaSという用語の定義や、近未来の情報システムといった抽象的なテーマが話題の中心だったが、今後はこれらを活用したシステムの具体的な構築法や運用に、話題の焦点が移っていくだろう。

 ISV(独立系ソフトウェア会社)やシステムインテグレーターは、これらの単語がバズワードのように語られる風潮が一段落しつつある今の時期を、クラウドコンピューティングやXaaSと自社のビジネスの立ち位置をあらためて見つめ直すチャンスととらえるべきだ。クラウドコンピューティングやXaaSは、パッケージソフトウェアや自社運用型での受託開発システムに置き換わるものではなく、事業のポートフォリオを拡大できるものだと考えてみよう。

 本稿ではISV/システムインテグレーターから見たクラウドコンピューティングやXaaSについて考える。

クラウド/PaaS基盤の活用は大企業が中心に

 以下のグラフは2012年までのSaaS(サービスとしてのソフトウェア)/PaaS(サービスとしてのプラットフォーム)関連の市場予測を示したものである。

国内におけるSaaSとPaaSの市場規模予測 国内におけるSaaSとPaaSの市場規模予測(出典:2009年版 SaaS市場の実態と中期予測 ノークリサーチ)

 2009年は、PaaSの黎明(れいめい)期にあたる。salesforce.comやGoogleなど、SaaSからPaaSの提供に乗り出した既存のグローバル企業に加えて、国内でもNECや富士通といったベンダー、KDDIなどのキャリア、NTTデータなどのシステムインテグレーターが、PaaS基盤の提供に踏み出している。

 サービス内容は多種多様だが、いずれもクラウドコンピューティングの特徴――ハードウェアのリソースが隠ぺい/仮想化され、開発者はデータの量やアクセス負荷の増大に対して直接手を下して対処する必要がないこと――をある程度備えている。そういう意味では、クラウドコンピューティング/PaaS基盤と呼ぶにふさわしい仕上がりになっているともいえる。

 これらの基盤は、大企業を中心に活用が進む可能性が高い。本社内に加え、複数の拠点やグループ企業など、多くのシステムを運用している大企業にとって、システムを支えるサーバやストレージの運用管理は大きな負担になる。これらのシステムをクラウドコンピューティング/PaaS基盤に移行することで、運用管理の負担を減らし、余剰なリソースの解消にも寄与する。数多くのシステムを抱える大企業にとって、こうした基盤の活用は、大きな投資効果が期待できるといえる。

 一方、システムの規模が比較的小さい中堅・中小企業では、ユーザー、クラウドコンピューティング/PaaS基盤の提供側の両方において、コストのメリットを見いだしにくい。中堅・中小企業では、サービスを提供する価格が下落した後に、基盤の活用が波及していくものと予想される。

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