サービスマネジメントの新しい「鼓動」

「Smarter」で聴衆を熱狂させた伝説の“マジック”IBM Pulse 2009 Report

IBM Pulse 2009のゲストスピーカーは、直前まで明らかにされなかった。期待と不安の中にいる聴衆を熱狂の渦に包み込んだのは、伝説の“マジック”である――。

» 2009年02月12日 08時00分 公開
[石森将文,ITmedia]

勝ちにこだわり、徹底して備える

ステージ上の“マジック”・ジョンソン ステージ上の“マジック”・ジョンソン。現役時代と比べると貫禄十分になったが、八頭身だ

 米国ラスベガスで開催中のIBM Pulse 2009。2日目のゼネラルセッションでシークレットスピーカーとして登場したのが、米国プロバスケットボールリーグ(NBA)の殿堂入りプレーヤー、“マジック”・ジョンソンである。

 彼の登場を予想だにしていなかった聴衆の大歓声にしばらく壇上で応えたあと、「僕に与えられた時間なんだから、僕の好きなようにやっていいんだよね!」と客席に降りるジョンソン氏。そこかしこの「客いじり」をしながら、フレンドリーに語りかける。

 現役時代のポリシーについて「誰よりも早く練習場にきて、誰よりも遅くまで練習する。その結果、自分が何点取れるか? なんて気にしない。でもチームの勝ちには徹底的にこだわる」とジョンソン氏は話す。「今の経済状況はサイアクだけど、大切なのは“勝ちを信じ、勝つための準備を怠らないこと”なんだ」(ジョンソン氏)

 彼は現在、複数のビジネスを手がけ、事業を拡大している。つい先日も投資会社から大規模な資金を調達したという。「でも今はタイミングが悪いから、資金を使わないよ! 僕の読みではあと1カ月後くらいが“使い時”かな」(ジョンソン氏)

 ジョンソン氏はスターバックスと共同でのカフェ事業、レストラン事業、フィットネス事業、そして不動産・ホテル事業と幅広い事業を手掛けている。「みんなに僕のカフェでコーヒーを飲んでもらって、レストランで脂肪も取ってもらって(笑)、その脂肪をフィットネスで落としてもらう。よく考えられてるだろ?」と聴衆の笑いを誘う。

成果は分かち合ってこそ“Smarter”

 日本人の感覚だと、ここまでビジネスの「成功談」を聞かされると、嫌味に感じる向きがあるかもしれない。だがジョンソン氏は、約160もの奨学金基金を設立し、彼の関わる事業において5万人にのぼる米国マイノリティーの雇用を創出したという。放っておけばギャングになっていたかもしれないマイノリティーの少年が、彼の奨学金を利用し、今ではアメックスの正社員として働いていたり、幼くして妊娠した少女が、子供を育てつつ学位を取得したりといった数え切れない実績があると紹介された。「バスケットボールの試合だって、僕らがただ走り回るだけで皆がお金を払ってくれ、そしてハッピーになってくれたんだ。ビジネスだって同じさ」とジョンソン氏は話す。彼が、彼自身のブランドと才覚と(ほんの少しの)運を使って挙げた成果を、多くの人と分かち合うのだという。

彼の話はユーモアたっぷり。「スタバの経営者にさ、米国のマイノリティーはコーヒーに4ドルなんて払わないよ! って言ったんだ。すると彼は“大丈夫。スコーンをセットにすれば売れる”だって。僕らはスコーンなんて知らないのにね!」(写真=左)、“マジック”は積極的に客席に入り、聴衆とコミュニケーションする(写真=中)、暗闇を背景に熱弁を振るう“マジック”。その姿はさながら求道者のようだ――(写真=右、すべてクリックで拡大)

 「IBMはSmarter Planet」をビジョンにしているんだって?」とジョンソン氏。「僕がやっていることも、賢く成果を挙げて社会や人々の向上に寄与するという意味で、同じ“Smarter”だよね!」と聴衆に問いかける。最後は彼の実績とビジョンに敬意を払う聴衆のスタンディングオベーションの中、ステージを後にした。

Tivoliゼネラルマネジャー アル・ゾラ氏との2ショット。ゾラ氏も決して小柄なほうではないのだが

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