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» 2009年05月22日 19時17分 公開

公共市場向け戦略:「有望だが難しい市場」に向け新製品、新チームで挑む――デル (1/2)

デルが教育機関向けに特化した製品を発表した。組織体制を変更し、ユーザー視点のマーケティング力強化を進める同社は、どのような戦略で厳しい市場環境を打破しようとしているのか。

[大西高弘,ITmedia]

豊富な機能を選択できる新製品

 5月20日、デルが公共機関・法人向けのミニノートPC「Dell Latitude 2100」の販売開始を発表した。この製品は10.1型ノートPCで、教育利用に主眼を置いて設計されたという。CPUはインテルAtomを搭載し、メモリは最大2GB。Gigabit Ethernet接続機能を持ち、フル機能のワイヤレス通信が可能だ。OSはWindows Vista Home Basic SP1、Windows XP Home Edition SP3のいずれかから選択できる。ネットワークからPC起動するネットワーク・ブート機能をサポートしており、シンクライアントとして集中管理することもできるし、HDD、SSDの記憶装置の選択もできる。

「Dell Latitude 2100」ラバー加工された筐体が目を引く

 また、筐体は耐久性に優れたラバー加工筐体を採用しており、底部もラバーで覆われる格好で、液体などが侵入しないよう、開口部を設けていない。重量は1.3kgで最長6時間動作する。またオプションでウェブカメラやタッチスクリーン機能も追加できるという。

 上部カバーの外側にはネットワークに接続していると点灯する「ネットワークアクティビティライト」が搭載され、生徒や学生のPCの使用状況を一目瞭然にチェックすることができる。価格は5万6385円(税込み、配送料別)から、とのことだ。

 北アジア地域 公共事業マーケティング本部の垂見智真クライアントソリューションマーケティングマネージャは、今回の発表の中で次のように語った。

 「教育機関のマーケットで、どこまで高機能にできるのかがポイントだった。調査機関の調査をもとに当社が予測した、米国での小学校から高校までのノートPC、ネットブック(ミニノートPC)の台数は、今後2012年までノートPCは微減していき、ネットブックが堅調に伸びていくという結果になった。そして2012年では米国のこのセグメントでのネットブックが占める割合は、30%以上になる見込みだ。ノートPCは価格帯がどうしても高くなるので、今回のネットブックの新製品を投入することになった」

 Dell Latitude 2100はシンクライアントとしても利用することができるが、このことに関して垂見氏は次のように話す。

 「教育分野ではシンクライアントの導入が比較的早く進んできた。これをさらに進めて、クライアントの仮想化とも言うべき取り組みに着手している。仮想デスクトップ型シンクライアントを使うことで、ユーザーはアカデミック向けのライセンスを効果的に活用することができる」

 クライアントの仮想化では運用負荷の低減だけでなく、購入するソフトウェアライセンスも減らすことができる。実機は共用端末として利用する形態をとれば、アカデミック向けとして安価になっているソフトウェアの購入メリットをさらに拡大できるわけだ。

教育関連の補正予算という恵み

 デルは最近、グローバルで組織変更を実施した。この2月から、公共機関関係の担当者が統合されている。公共ビジネス以外では、ラージエンタープライズ、SMB、コンシューマーというようにビジネスユニットを、製品カットではなく、ユーザーカットに変更した。

 北アジア地域 公共事業本部の郡 信一郎執行役員 統括本部長は次のように述べる。

 「組織変更に伴ってマーケティング、営業担当も公共事業向け専任を設けている。これによって、より顧客の用途に特化したサービスが展開できるようになった。公共事業分野は、教育、官公庁、医療の3つのグループに別れてビジネスを展開していく。デルの公共事業規模は実績で150億ドル。単なるPC製品の提案ではなく、サーバ、ストレージ、ソリューション提案を積極的に行っていきたい。デルは教育機関向けに『コネクテッドクラスルーム』というコンセプトを掲げている。生徒と教師、あるいは外部機関が双方向でコミュニケーションをし、物理的な壁を越えて、世界中の知識と接する環境作りに貢献したい。また平成20年度の補正予算の好影響も期待している。教育関連のIT投資が活発化し、日本の教育現場でのIT活用が充実していくのは明らかで、この追い風をキャッチしたい」

「公共関係の市場で着実な実績を積み上げたい」と語る郡執行役員

 Dell Latitude 2100は、教育、官公庁、医療のそれぞれの市場で、機能、価格ともにユーザーのニーズを細かいところまでくみとった専用製品として販売される。会見では、デル製品の海外教育市場での実績なども発表され、着実な実績が今後も期待されるとした。

 ある教育関係者によれば「今回の補正予算は30年に一度あるかないか、というほどの大規模なもの。ここでしっかりと予算化してIT環境を整えた地域の学校とそうでないところとでは、大きな差ができる」という。例えば海外の教育現場ではかなり浸透しているという「電子黒板」。教師が書き込んだいわゆる「板書」をデジタル化することができる。これなども今回の補正予算の目玉となっている。デジタルテレビの設置、校内LANの敷設などを含む、文部科学省関係の補正予算総額は約1兆3000億円。PCだけを売り込むのではなく、トータルな教育関連ITソリューションを提供したいデルにとっては、またとないチャンスだ。

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