2020年に90年比25%の削減:IT機器の電源管理で達成する電力コストとCO2の削減

東京都の改正環境確保条例や民主党新政権の方針から、企業などに温室効果ガスの削減が求められている。違反企業の公表や罰金が科せられる可能性もあり、要求を達成するには、消費電力の多くを占めるIT機器の省エネが近道だ。身近なところから、今すぐできるCO2削減や電力コスト削減を実現する方法を考えてみよう。


 今や世界的な関心事の一つとなっているのが地球温暖化対策であり、企業にも数値目標を伴う削減義務が課せられるようになった。昨今の経済不況の渦中ではコスト削減への要求が強まり、温暖化との関係が深い電力の使用をいかに減らすかも重要である。温暖化対策とコスト削減という2つの大きな課題について、身近なところから、安価に、今すぐできるIT機器の省エネに注目してみたい。

違反には企業名の公表や罰金

 各国の政府や自治体がさまざまな地球温暖化対策を検討している中で、既に具体的な取り組みを始めているのが東京都だ。東京都は2009年4月に改正環境保護条例を施行し、2010年4月からは罰則を伴った温室効果ガスの削減を義務付ける。

 都の改正環境保護条例では、2010年4月〜2015年3月の第1計画期間と、2015年4月〜2020年3月の第2計画期間の2つのフェーズで温室効果ガスを削減させていく計画だ。第1計画期間では単年度比で年間8%の温室効果ガスの削減が義務付けられ、第2計画期間では17%強化される。つまり2015年4月以降は、現在に比べて毎年25%ずつ温室効果ガスを削減していかなければならない。

 東京都がこうした動きに踏み切った背景には、やはり温室効果ガスの深刻な増加がある。都環境局によると、1990年度の都のCO2排出量は5437万トンであり、2006年度は5588万トンになった。製造業を中心とした産業部門のCO2排出量は1990年度の984万トンから2006年度は522万トンまで減少したものの、それ以外の一般企業が該当する業務や家庭、運輸などの部門では増加傾向にある。特に大きな割合を占めるのが業務部門であり、CO2排出量は1990年度が1571万トン、2006年度は2059万トンだった。改正条例における最大の狙いは、業務部門におけるCO2の排出削減にあると言えるだろう。

 改正環境保護条例では、削減義務に違反した企業に対して厳格な罰則を定めている。具体的には、まず第1計画期間における実施状況を2015年4月〜2016年3月に整理し、達成できなかった企業へ削減目標を達成するための猶予期限が通知される。この期間でも履行できない場合には、さらに厳守期限を伴った履行命令が出される。命令に対応できない場合に罰則が適用される仕組みだ。

 罰則には50万円を上限とした罰金と不足費用の支払い、企業名を含めた違反事実の公表がある。不足費用の支払いとは、削減できなかった温室効果ガスの質量に応じた排出権を都が購入し、その費用を違反企業が支払うものである。特に違反事実の公表は、目標を達成できなかった企業に大きく影響するだろう。違反事実が社会全体に知られることになれば、企業に対する信頼やブランドといった価値が大きく失墜する。その結果、顧客離れや取引の縮小や停止などにもつながり、企業の業績に深刻なダメージを与えるのは言うまでもない。

東京都の改正環境保護条例による実施フロー 東京都の改正環境保護条例による実施フロー

 だが、改正環境保護条例は罰則などの厳しい面ばかりではなく、削減に努力した企業に対する恩恵も用意している。企業が削減義務量を超えて削減すれば、その差分に応じた排出権を排出権取引市場などで売却し、利益にできる。排出権取引市場は、政府が2011年に開設する方針だ。温室効果ガス削減への取り組みは、企業の積極的な姿勢が確実な収益に結びつく新たなチャンスになるだろう。

 2009年9月に発足した民主党政権も地球温暖化対策への積極的な取り組みを表明している。政府の方針では2020年までに1990年に比べて25%のCO2削減目標を掲げた。その施策として検討されているのが「地球温暖化対策税(通称CO2税)」である。CO2税は電気やガス、ガソリンなどに課せられる見込みであり、実質的にはCO2削減の努力を怠った企業ほど税負担が重くなる。例えば、2010年から「炭素税」の名称で同様の税制を導入するフランスはCO2排出量1トン当たり約2200円を課す方針だ。ある大企業の年間のCO2排出量を1万トンとした場合、炭素税額は単純計算でも2200万円になってしまう。

 このように、今後の地球温暖化対策は税金や罰則といった厳しい内容を伴う形で実施されていく見込みだ。企業にとって温室効果ガスの削減は事実上に義務となるが、積極的に取り組めば義務違反のリスクを抑制し、さらには利益にもつながるのである。

温暖化対策の近道は電力の削減

 東京都環境局によると、燃料種別のCO2排出量で最も多いのが電力である。1990年度では電力が2460万トン、2位の燃料油が1960万トンと、電力が燃料油を大幅に上回った。2006年度でも電力が2817万トンと増加したのに対し、燃料油は1547万トンと減少した。部門別では業務部門が最多を占めることから、東京都におけるCO2の排出に企業の電力消費が大きく影響しているのは明らかだ。

 これらの傾向から、企業が温室効果ガスを削減していくためには、電力消費を抑制することが近道と言える。企業で使用される電力には主に照明や冷暖房、IT機器などがあるが、特にIT機器は1990年代から現在に至るまで企業内で急速に普及し、電力消費量を押し上げた。かつては基幹業務に使用されるメインフレームだけだったが、PCが部門や部署単位で導入されたのをきっかけに、今では社員1人1台以上が当たり前となっている。

 もはやIT機器は企業活動に不可欠であり、今後も依存度がますます高まる。経済産業省によると、2006年の国内総発電量に占めるIT機器の割合は5%(470億kWh)だったが、2025年は20%以上(2400億kWh)になる。温室効果ガスの削減に向けた法令や税制は、現在から2020年代に向けて段階的に厳しくなっていく。先に挙げたCO2税が導入された場合の負担は、従業員100人規模の企業で年間約26万円、300人の企業では79万円、1000人規模では264万円になるとの試算もある。

 企業がこうした法令や税制に対処するには、IT機器を中心とした電力使用をいかにして抑制、削減していくかが重要だ。電力消費は日常的に発生するコストでもあり、削減による環境対策とコスト削減の両方を実現できる。

IT資産管理ツールですぐに始める電源管理

 企業が抱えるIT機器にはサーバやネットワーク機器、複合機、PCなどがある。しかしながら、サーバやデータセンターなどのインフラ系機器を、省エネタイプに置き換えることは、費用的にも工数的にも、そう簡単に着手できるものではない。そこで社内にあるPCに着目してはどうだろうか。従業員が使用するPCは確実に台数が増加しており、それらの消費電力を適切に管理することで消費電力を大幅に削減できる。しかし、PC台数が多ければ多いほど、効率的に管理する仕組みを構築するのが難しいだろう。そこで活用したいのがIT資産管理ツールである。

 IT資産管理ツールは、一般的にクライアントPCのOSやソフトウェアのバージョン、更新状況、実装されているハードウェア構成などの情報を収集、一元管理できるものである。

 例えばクオリティが提供するIT資産管理ツール「QND Plus」やその上位版としてセキュリティ統制機能などを持つ「QAW」には、一般的なIT資産管理機能に加え、PCの電源設定の集中管理や電力消費量を計測、リポーティングする「グリーンITプラグイン(Quality Power Management Ver.1.0=QPM)」が用意されている。QAW/QND Plusの最新版には同梱されており、ユーザーは同機能をすぐに利用できる。

IT資産管理ツールによる電源管理のイメージ IT資産管理ツールによる電源管理のイメージ

 グリーンITプラグイン(QPM)では、まず電源設定のポリシーを策定するため、消費電力の基礎データを各PCで測定する。このデータを基準にポリシーを策定して、管理対象PCへ配布して運用する。さらに、定期的に消費電力を計測して設定したポリシーが実情に即しているかをチェックし、ポリシーを随時見直す。このサイクルを繰り返すことで、PCの適正な利用を促し、消費電力を削減していく。

 なお、ポリシーは個々のPCやグループ単位で詳細な内容を設定できる。例えば外出する機会の多い営業担当者のPCは日中のみ5分でスタンバイ状態に移行する、内勤者のPCでは昼の休憩時間のみを3分でスタンバイ状態に移行するといった設定にし、夜間の業務時間以外は一斉にPCを5分で休止状態にするなど柔軟に運用できる。こうした消費電力や電力コストの削減の取り組み成果は、グラフを交えたリポートとしても提供されるため、管理者などが上長や経営層へ報告する手段にもなるだろう。

 実際にグリーンITプラグイン(QPM)を活用している企業では、導入および運用の見直しを3カ月にわたって実施し、全社で25%もの消費電力を削減した。このように、グリーンITプラグイン(QPM)を用いたクライアントPCの電源管理は、今ある環境で、すぐに取り組むことができる、即効性のあるソリューションと言える。

quality_greenit02.jpg 電源の適正管理によるCO2と電力の削減効果

 地球温暖化は既に進行している問題であり、社会的責任を背負う企業には温暖化防止へ一日でも早く対処することが望まれる。また、先の見えない経済不況下でコスト削減に有効な対策を短期間で実現できる手段として、IT資産管理ツールの導入を検討してはいかがだろうか。

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提供:クオリティ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2009年12月28日

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