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» 2010年03月26日 15時07分 UPDATE

エリック松永のICT事変:オープンソースの逆襲 (1/3)

情報システムの構築では、ITベンダーとユーザー企業のコミュニケーションにズレが生じることがよくある。ここでOSSの仕組みに着目してみると、特に小さいプロジェクトにおいて「OSS流」のソフトウェア販売に優位点を見つけられる。

[エリック松永,ITmedia]

 オープンソースの世界では、世界中のプログラマーが腕試しにコードを開示し合い、成果を無料で公開し合う。その集合体としてソフトウェアはボランティアベースで機能拡張、更新を繰り返し、ユーザーにはライセンスフリーで届けられる。プログラマーを動かすのは金銭的インセンティブではなく、プログラマーとしての腕とプライドだ。ライセンスビジネスで稼いできたソフトウェアベンダーにとって「恐怖!のOSS」――そんな風に理解していませんか。

オープンソースの幻想

 リーマンショック以降、世界的な不況が企業に襲い掛かり、企業経営は大変厳しい状況になっています。ITは事業を行うためになくてはならない投資ではあるものの、少しでも投資を減らしたい代表格でもあります。実際に企業のIT市場動向を見ても、企業のオープンソース導入意欲は強く、利用の拡大が数字的に顕著に見られます。企業が期待しているのは、あくまでも導入コストや運用コストの削減といったお金の話であり、ライセンスが無料だからきっと物凄くシステム投資が減るのだろうというイメージを抱いているといえます。

 しかし、実際のところはどうでしょうか。コスト削減を前面に出した売り文句で見積もりを取ってみて“?”と思った担当者は多いと思います。一見同じ商品に見えるソフトウェアが、「プロバージョン」と称して提供されることで、ライセンス料を取るやら、多額の開発費がかかるやらで、「だまされた」と叫ぶ方もちらほら見かけます。

 無料でソフトウェアが手に入るという幻想は、フリーウェアのイメージを引きずっているような感じさえします。しかし、今回の話は、オープンソースを否定するものではなく、実はオープンソースはすごい可能性を秘めており、ユーザー企業に大きなメリットをもたらすというお話をしたいと思っています。さて、始めましょう。

効率化とは程遠いIT

 価格競争の激化する外食産業では、サプライチェーンマネジメントという名の下に流通を単純化、効率化することによって、より質の高い商品を安くスピーディーに消費者に提供することが当たり前になっています。生き残るための必須条件とも言えます。

 一方、システム構築はどうでしょうか。企業システムは肥大化し、経営からは完全にブラックボックス化しています。経営層からは何にIT投資しているのか、よく見えません。情報システム部門も大混乱で、システムインテグレーションプロジェクトのさらなる巨大化により、SEの役割は細分化され、よく言えば特定の役割にSEが特化し、悪く言えば全体の見えないSEが氾濫している状況です。

 ユーザー企業の求める機能がシステム構築に反映されず、開発の後戻りから費用はかさむ一方です。1つの開発プロジェクトに多くの企業が下請けとして存在しており、伝言ゲームになってしまって、当初のユーザー要件はなかなか伝わりません。このような状況の下、昨今動かないシステムが不幸にも数多く存在しているのは周知の事実でしょう。ユーザー企業がITで実現したいものを作るという基本的な機能が、残念ながらうまく働いている状況ではないのが現実なのです。

OSS流、CRMソフトウェアでERPを開発

 では、分かりやすいようにあるOSSベンダーの仕事ぶりを見てみましょう。このOSSベンダーは、8人のITプロフェッショナルで構成され、もちろんソースコードを熟知し、全員がコーディングを書きます。この小さな集団に営業職はありません。ある意味、全員が営業担当者でありエンジニアです。「OSS流」の仕事ぶりを少し見てみましょう。

 ユーザー企業への営業シーンを例にしましょう。ユーザー企業は、ときにコスト無視で一方的にやりたいことを言うことがあります。営業担当者泣かせの状況はどこでも変わりません。営業担当者は、売り込みたい製品の知識を仕入れて、それを売り込もうと必死にアピールします。しかし、ユーザーの要求事項を聞き過ぎると対応できなくなります。

 大手ベンダーの営業担当者は、商品知識を詰め込むだけでも大変という状況があります。その上で、ユーザーとSEの橋渡しまでしなければならなくなるわけです。ここで、ユーザー企業と営業の間で最初のコミュニケーションギャップが生まれます。提供された製品とユーザー要件のギャップから無駄も生まれることになります。一方で、OSS流の営業はどうでしょうか。

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