安心できる中古PCの取り扱い――変化を支えるマイクロソフト中堅中小企業への福音

今や年間170万台以上の規模に達しているとも言われる中古PC市場。企業などでの利用も進みつつあるが、安価に調達できるメリットが注目されるあまり、著作権侵害のリスクなどが軽んじて考えられがちである。ここでは、マイクロソフトが中古PC市場に対して行っている取り組みを紹介しながら、中古PCの最新動向を整理しよう。

» 2010年06月08日 10時00分 公開
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 「次にPCを購入するならどんなPCを購入しますか?」――このように問われて、あなたはどう答えるだろうか? ホビーユーザーであれば最新のスペックを備えた新品のPCを選択するかもしれない。では、もしあなたが企業の経営者なら? もしかすると選択肢に「中古PC」が加わるかもしれない。先行きが不透明な景気動向に企業も敏感となっており、設備投資も抑制が続いている昨今。雇用も流動化が進み、予算化されていない雇用に対してどう安くPCを仕入れるかは企業の課題の1つである。

 PCの性能は年々向上しているが、一般的な利用シーンでその処理能力をフルに生かすことはほとんどない。もちろん、動画編集をはじめとする専門領域ではPCの性能向上の恩恵を受けられるが、それ以外の作業では最新のスペックを備えたPCでなくとも十分であることはご存じのとおりである。

 とはいえ、PCはコモディティ化に伴って利用を拡大している。MM総研がまとめた2009年度の国内PC出荷台数は前年比4.8%増の1390万8000台と順調に出荷台数を伸ばしている。しかし一方で、同じPC市場で2倍近い成長を遂げている分野がある。それが中古PCである。

 中古PC市場が急成長しているのは幾つかの調査結果からも明らかだ。例えば、PCを中心とした中古情報機器の再利用を促進する中古情報機器協会(RITEA)がまとめた2008年度の中古PC販売台数は174万台で、前年度比で10%増だった。中古情報機器協会の外部審議会メンバーで、ITジャーナリストの松岡功氏は、この傾向はさらに顕著になってきていると話す。

 「今や、市場に流通するPCの少なくとも10台に1台は中古PC。しかもその成長率は新品のPCを上回る」(松岡氏)

 しかし、中古PCに対してはネガティブな見方をする向きもある。特に、ソフトウェアのライセンスについてこうした声が多い。ここでは、松岡氏とマイクロソフトOEM統括本部シニアアカウントエグゼクティブの春原久徳氏の会話を交えながら、中古PC市場の動向と、同市場におけるマイクロソフトの取り組みについて聞いた。

中古PC市場における構造上の変化

RITEAの調査では2008年度の中古PC販売台数は174万台とされている。2010年現在、PCの総出荷台数に対する中古PCの割合は2割を超えている可能性が高い(出典:RITEA)

 中古PCはどのようにして市場に流通しているのか。春原氏は、その構造を「企業から排出されたPCがコンシューマーに流れている」と説明した上で、この市場で起こりつつある構造上の変化について次のように説明する。

 「企業がPCを調達する場合、従来はその8割程度がリースでしたが、税制改正によりリースも減価償却の対象となったため、現在ではその割合は4割程度にまで落ち込み、買い取りを選択するケースが増えています」(春原氏)

 ここで重要なのは、リースの場合、リース期間終了後にリース会社がPCを引き取り、HDD内の業務データの消去なども行っていたため、企業としては手間が掛からなかったという点だ。一方、買い取りの場合はデータの消去やPCの廃棄といった業務を企業が自ら行わなければならない。実際には、PCの買い換え時にリセラー側でPCの買い取りやデータの消去もオファリングとして提供するケースが多いが、いずれにせよ中古PCの流通がリース会社を起点とするものではなくなっているのがポイントだ。

 この動きは中古PCを扱う事業者に大きな影響を与えている。これまで中古PCを扱う事業者は、中古PCを仕入れるチャネルとしてリース会社と密に連携していたが、前述したようにリースの需要が減り、リセラーがPCの買い取りなども手掛けるようになったことで、仕入れのチャネルが変化した。「中古PCを扱う再生事業者にとって仕入れのメインはリース会社から企業となりつつあり、市場からどう集めるかが非常に大きなテーマとなっています」と春原氏は説明する。

 ここまでを企業の立場に立ってまとめると、PCの調達において中古品の購入は現実的な選択肢だが、リースではあまり考慮されなかった廃棄にも注意を払う必要があるということができるだろう。

安心して使える中古PC、その道を開拓するマイクロソフト

マイクロソフトOEM統括本部シニアアカウントエグゼクティブの春原久徳氏。この取り組みはビジネスを超えた意義があると話す

 こうした中、中古PCのソフトウェアライセンスに対しては、まだ十分に整備されていなかったのが現状である。

 特に問題となるのはOSだが、マイクロソフトは、ソフトウェアライセンスの譲渡条件に関してクリアにしてきた企業の1社である。同社は、PCに貼付されているCertificate of Authenticity(COA)ラベルと添付品のすべて(特にリカバリメディアとマニュアル)がそろっていれば譲渡可能というスタンスを採っている。

 しかし、企業から排出されるPCの中には、リカバリメディアを紛失していたり、HDD内にリカバリイメージを持つ一部のPCでは、データ消去によってそれが失われてしまうため、譲渡条件を満たせないケースが多く存在している。

 この場合、中古PCを扱う再生事業者は、OSが付いていない中古PCを「ネイキッド」と呼ばれる形態で流通させるのが一般的だった。問題は、ネイキッドが中古PC市場に占める割合が7割近くに上ることだと春原氏は指摘する。ネイキッドを購入したエンドユーザーは、別途OSを購入する必要がある。第三者からOSを別途購入する際、リスクを認識せずに非正規品や偽造品を購入してしまうケースは後を絶たない。中には偽造品を利用したことで、マルウェア、ボットが混入していた報告もある。

 企業の情報システム部門がソフトウェアの不正使用を容認することはないが、管理者の目をくぐり抜ける形で、こうした取り引きが発生する可能性はリスクとして考えておく必要がある。そして、このことが企業の社会的信用を失いかねない事態を招くかもしれないことには意外に注意が払われていないのが現状だ。これらは企業のコンプライアンスの徹底によって解決できる問題だが、こうした問題から消費者をどのように保護するかを考えるのもベンダー側、あるいは産業界に課せられた責任である。

 「こうした状況の改善には、エンドユーザーへの啓発も必要だが、中古PCを提供する中間業者への啓発がまず不可欠」と春原氏。そのためのアプローチとしてマイクロソフトが2009年4月に開始したのが、「Microsoft Authorized Refurbisherプログラム」と呼ばれる施策だ。この施策は大規模な中古PC再生事業者に対して、出荷時に正規のWindows OSがインストールされていたPCを対象に新規ライセンスより低価格な「セカンダリライセンス」を提供するというもの。

 分かりやすく言えば、企業がPCを廃棄する際にリカバリメディアなどを紛失していても、Microsoft Authorized Refurbisherプログラムに参加している中古PC再生事業者は、それらの中古PCに正規のWindows OSライセンスを付与して流通させることができるというものだ。購入する側はOSを個別に購入したり、インストールしたりする必要もなく、安心して利用することができる。

 PCを廃棄する際の問題と、中古PCの流通に関する問題を両面から解決するこの施策は、中古PC再生事業者からも歓迎された。Microsoft Authorized Refurbisherプログラムの発表時にはソフマップやヤマダ電機など大手の中古PC再生事業者が参画を表明し、2010年3月にはIBMもその輪に加わり、現在は11社が参画している。

 しかし、購入する側、特に中堅中小企業の立場になって考えてみると、こうした大手の再生事業者ではなく、中小規模の中古PC再生事業者、例えば付加価値再販業者(VAR)などが一般的な排出/購入先となるはずである。Microsoft Authorized Refurbisherプログラムは再生PCの大規模な販売実績を有している事業者が対象であり、これらの事業者はカバーされていなかった。

 そこで、Microsoft Authorized Refurbisherプログラムの発表から約1年たった2010年3月にマイクロソフトが発表したのが「Microsoft Registered Refurbisherプログラム」だ。こちらは中小規模の中古PC再生事業者向けのプログラムで、オンラインで登録すれば、マイクロソフトの正規代理店を通じて、セカンダリライセンスを購入できるようになった。これにより、中堅中小企業でも安心して中古PCを扱える土壌が整備されたということができる。

リユースを意識し始めた現代社会への適応を

松岡氏 松岡功氏。ITジャーナリストとして活躍する同氏は、企業の中古PC活用について広い見識を持つ

 松岡氏は、こうした仕組みの整備も進んだことで、ユーザーが安心して中古PCを取り扱える土台が固まったと話す。そして、この動きは、産業界の環境保全対策という観点からも重要であると付け加える。

 「Windowsが正規にインストールされた中古PCが市場に多く提供される仕組みが整うことは、市場の発展に寄与するだけではなく、企業の買い換え需要の受け皿となり、業界全体の発展にもつながるというメリットがある。また、中古品が担うリユース(再利用)は、リデュース(廃棄物の発生抑制)、リサイクル(再資源化)とともに『3R』と呼ばれる環境保全対策の重要な要素。この動きが浸透し始めたことで、企業を含めたエンドユーザーの意識も変わり始めている。Microsoft Authorized RefurbisherプログラムやMicrosoft Registered Refurbisherプログラムは、拡大していく中古PC市場に対して、マイクロソフトが果たす社会的責任といえる」(松岡氏)

 もちろんユーザー企業もこの循環とは無関係ではいられない。企業は今後、環境に配慮したPCのライフサイクルを考える必要があることは間違いない。中古PCの市場が整備された今、改めてその価値を考える時期に来ている。柔軟体操をしないスポーツ選手が体をこわしやすいように、企業にも柔軟性を持ってこの動きに正対してもらいたい。

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