マイクロソフトが先週24日、中古パソコンに対して正規のWindows OSライセンスを提供する施策を発表した。この施策、中古パソコンの企業ユースにも大きな意味がありそうだ。
マイクロソフトが先週24日、中古パソコンを販売する小売業者などを対象に、「Windows XP Professional Edition / Home Edition」の正規ライセンスを提供する「Microsoft Authorized Refurbisher(MAR)プログラム」を発表した。
中古パソコン市場が拡大する中で、OSを搭載していない中古パソコンを購入したユーザーが、不正コピー版のOSを導入するケースが後を絶たないため、正規版のOSを安価で提供することで、市場の健全な発展につなげようというのが狙いだ。
ちなみに、中古パソコンに関連する企業が加盟する一般社団法人 中古情報機器協会(RITEA)の調査によると、国内での中古パソコンの年間販売台数は158万9000台(2007年度実績)。前年度比30%増の成長市場だが、そのうち7割はOSを搭載していない形で流通されているという。
同日の記者会見で説明に立ったマイクロソフトの伊藤ゆみ子 執行役 法務・政策企画統括本部 統括本部長は、「不正コピーは違法であるとともに、中には偽造品を利用したことでマルウェアなどの被害に遭うケースもある。MARプログラムではユーザーをそうした脅威から保護し、Windows本来の機能やサービスを活用できるようにした」と強調した。
また、「中古パソコンの流通が活性化することにより、廃棄物発生抑制やCO2排出削減などの環境・循環型社会への貢献につながる」(伊藤 執行役)ことも重要なポイントとしてあげた。
続いて説明に立ったマイクロソフトの中川哲コマーシャルWindows本部 本部長はMARプログラムについてこう語った。
「中古パソコンの多くは、新品として出荷されたときには正規のWindows OSライセンスが提供されていた。その元々のライセンスが失効したわけではないが、リカバリメディアが紛失・破損しているケースもある。MARプログラムは、一定条件を満たした事業者から出荷されるそうした中古パソコンに対し、Windows OSのセカンダリライセンスを提供する施策だ」
そのため、ライセンス料についても「リカバリメディアや流通にかかるコストなどの実費程度」としている。
MARプログラムに参加した事業者は、アンカーネットワークサービス、川上キカイ、ソフマップ、ティーズフューチャー、デジタルリソース、東電環境エンジニアリング、パシフィックネット、ブロードリンク、ヤマダ電機の9社。これらの事業者から、先週25日に正規Windows OSを搭載した中古パソコンが販売開始された。
中古パソコンといえば、個人向けが中心と見られがちだが、業界関係者の間では企業向けにも大きな期待を寄せている。今回のマイクロソフトの施策が、その大きな弾みとなるかもしれない。
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