マイクロソフト「中古パソコンにOS供与」の意味Weekly Memo(2/2 ページ)

» 2009年04月27日 06時52分 公開
[松岡功ITmedia]
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新施策が企業ユースの弾みに

 マイクロソフトの中川本部長に続いて挨拶に立ったRITEAの小澤昇 常務理事・事務局長は、「MARプログラムによって、Windows OS搭載済みの中古パソコンが数多く出回り、購入者が増えて市場が広がるだろう」と期待を込めて語った。

 さらに小澤常務理事は、「2007年度の販売実績で158万9000台だった中古パソコンを、新規に製造した場合のCO2排出量と比べると、19万1000トンを削減することができる。これは太さ30cmの樹木が1年間に吸収するCO2の量として、123万3000本にあたる規模となる」と、環境対策への中古パソコンの効果を説明した。

 安心、安価で環境にも優しいとなれば、個人のみならず、企業にとっても利用価値がありそうだ。中古パソコンの事情にも詳しい業界関係者が、今の状況をこう分析する。

 「昨今の厳しい経済情勢の中で、安心して安く導入できるというのは、企業にとって魅力的なはず。しかも環境に優しいとあれば、なおさらだ。とりわけ今回のマイクロソフトの施策は、中古パソコンに対して同社がOSを保証する仕組みをつくったわけで、企業ユーザーの不安感を払拭するのに大きな材料となるだろう」

 そしてこう続けた。「企業のクライアント環境における更新は、Windows 7の登場待ちといったところが多いが、XPを搭載した中古パソコンは次なる更新へ向けて、つなぎ役を果たすニーズが予想以上に出てくるのではないか。中古パソコンは安定的に調達するのが難しいが、そこの流通の仕組みが整ってくれば、企業向けビジネスが一定の規模に膨らむ可能性は大きい」

 企業向けにしても個人向けにしても、今回のマイクロソフトの施策によって、パソコン市場にネットブックなどと同様、「中古パソコン」という1つの新しいジャンルが本格的に選択肢に加わった格好ではないだろうか。

 そろそろ「中古パソコン」(マイクロソフトが使う「再生PC」も同じ)という呼称を、もっと親しみを感じる愛称に変えたほうがいいかもしれない。

プロフィール

まつおか・いさお ITジャーナリストとしてビジネス誌やメディアサイトなどに執筆中。1957年生まれ、大阪府出身。電波新聞社、日刊工業新聞社、コンピュータ・ニュース社(現BCN)などを経てフリーに。2003年10月より3年間、『月刊アイティセレクト』(アイティメディア発行)編集長を務める。(有)松岡編集企画 代表。主な著書は『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。


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