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» 2011年04月28日 11時30分 UPDATE

こころの処方箋:「ない」から「ある」への変化―震災をチャレンジに (1/2)

ネガティブな体験は、時間が経過するとポジティブな体験に変わる。そして、どんな困難もチャレンジに変え明日へとつなげるチカラを、私たち日本人は持っている――疲れたこころを優しく癒す処方箋、最終回は震災を乗り越え未来を作っていく皆さんへの応援メッセージをお届けします。

[竹内義晴(特定非営利活動法人しごとのみらい),ITmedia]

 「お金がない」「経済が回らない」……。3月11日以前、日本は「不景気」という言葉が溢れかえっていました。先の見えないさまざまな課題がある中で、多くの日本人は希望を失っていました。

 そのような最中、日本が揺れ動きました。震災によって直接的に、または間接的に、多くの方が大きな被害を受け、今もなお多くの課題は進行中です。「日本は再び立ち上がれるのだろうか」――このような思いを抱いている方もいらっしゃるでしょう。

 けれども私は最近、「新たな何か」が芽生え始めているような気がします。それは今後の日本を支える、大きなメンタリティーの変化のようにも感じます。そこで今回は、震災によって日本人が持ち始めたメンタリティーの変化に触れ、震災からどのように立ち上がっていけばよいのかについて、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。

歴史が証明している、日本の復興

 「まるで、戦争の後みたいだ」――被災地を目の前にしてつぶやいていたおばあちゃんの言葉です。私は直接戦争を体験していないので、それがどれほど大変だったのか情報からしか知り得ませんが、被災地のおばあちゃんが言うように、今、私たちが経験していることは、ひょっとしたら戦争に匹敵するほど大きなことなのかもしれません。

 けれども、皆さんもすでにご存じのとおり、私たちは戦後、一面の焼け野原から新たな新しい時代を築いてきました。「歴史は繰り返す」といいますが、この難局からも復興、発展していけるのは間違いなさそうです。

 これまでもそうだったように、私たちには、そのチカラがあります。

「あのときのおかげで」と思える日が必ず来る

 私が住む新潟県は、近年に2回、大きな地震を経験しています(幸い、私が住んでいる地域では大きな被害はありませんでした)。テレビのローカル番組では、今回の震災の内容に加えて、新潟県に起きた地震で被災した皆さんがどのように立ち上がっていったのかについて触れた内容も、数多く放映されています。その中で、あるお父さんは、次のように話していました。

 「地震の時は本当に大変だった。けれども、あの地震のおかげで周りとの絆が深まり、本当に大切ものは何かということが分かった」

 震災に限らず、私たちは生まれてから今まで、幾つかのネガティブな体験をしてきました。つらい体験の渦中にいるときは本当に大変で、それを乗り越えることに必死です。けれどもそのネガティブな過去の体験を今振り返ってみると、「あのときのおかげで……」と思えることがたくさんあることに気づくと思います。その瞬間はネガティブな体験でも、時間が経過するとポジティブな体験に変わるのです。

 今、生きることに必死の方もいらっしゃると思います。「永遠にこの日が続くのではないか……」先行きが分からず不安な方もいらっしゃるかもしれません。けれども、新潟で被災したお父さんが「あの地震のおかげで」と言っているように、近い将来から今を眺めれば、「あのときのおかげで……」と言える日が必ず来ます。

 この難局を乗り越えたとき、私たちが手に入れているものには、どんな価値があるのでしょうか。

「ない」から「ある」に気づき始めた日本人

「今日も電気がついていることがありがたい」

「食事ができることがありがたい」

「仕事ができることがありがたい」

「家族と一緒にいれることがありがたい」

「友達と会話できることがありがたい」

「今日も生きていられることがありがたい」

 最近、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアでこのような言葉をよく目にします。直接被災されていない方の生活はそれほど変わっていないはずなのに、多くの方が電気、食事、体、仕事、職場、同僚、家族、友達など、実は、たくさんのものが自分の周りに「ある」ということに気付き始めました。

 震災前は違いました。「お金がない」「日本には資源がない」など、どちらかというと、自分の周りに「ない」ことに目を向けていました。けれども、実際は「なかった」のではなく、「本当はあるのに、見えていなかった」のです。

 自分の周りに何も「ない」と思うか、それともいろいろなものが「ある」と思うか――この意識変化が今、日本の至るところで起こり始めています。この変化は、今後の日本に大きな影響を与えるのではないかと思います。「絆」「知恵」「アイデア」など、まだ気がついていないリソースはたくさんあるはずです。

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