コンシューマーITが企業の顧客サービスにもたらした変化とはG-Force Melbourne 2011 Report(1/2 ページ)

コンタクトセンター業界向けの一大イベントである「G-Force 2011」のアジア太平洋版が開幕した。その中で繰り返し強調されたのが、企業のソーシャルメディアへの対応である。

» 2011年08月25日 07時15分 公開
[伏見学,ITmedia]

 連日うだるような夏の暑さが続く日本とは対照的に、オーストラリアでは季節が冬から春に移り変わりつつある。とはいえ、南部の都市・メルボルンでは、日中は気温が20度近くまで上がるものの、夜は7度前後と冷え込む。

 メルボルンは、移民の街として知られている。170カ国の人々が移り住んでおり、その数は全人口の4分の1に上るという。街中では英語以外にも中国語やスペイン語などさまざまな言語での会話を耳にする。また、市内の至るところに地図や案内標識が設置されており、旅行者など“お客様”へのホスピタリティのある姿勢をうかがい知ることができる。多様性を受け入れる土壌が根付いているといえるだろう。

 そのメルボルンにて、仏Alcatel-Lucentは8月24日(現地時間)からコンタクトセンター業界向けの年次イベント「G-Force Melbourne 2011」を開催している。G-Forceは、昨年に同社のエンタープライズ事業の1部門として加わったGenesysが主催。今年は既に「G-Force 2011 Americas」(米国・テキサス州ダラス)、「G-Force 2011 EMEA」(チェコ・プラハ)で開催しており、そのアジア太平洋地域(APAC)版といえるだろう。

 今回のメインテーマである“CHANGE THE CONVERSATION(会話を変えよう!)”という言葉にもあるように、同社がこのイベントでメッセージとして打ち出されているのは、コンタクトセンターにおける顧客との対話の変革である。従来の電話やメール、チャットなどにとどまらず、顧客が望むチャネルに柔軟に対応していくことが不可欠だとしている。中でも特に強調されているのが、ソーシャルメディアをいかにビジネスに取り込み、顧客の満足度を高めるかという点である。

デジタルネイティブとの対話

Alcatel-Lucentでエンタープライズ事業のプレジデントを務めるトム・バーンズ氏。自身も旅先でレストランをFacebookなどで探すなど「ソーシャルメディアは消費者の購買行動に大きな影響を与えている」と語る Alcatel-Lucentでエンタープライズ事業のプレジデントを務めるトム・バーンズ氏。自身も旅先でレストランをFacebookなどで探すなど「ソーシャルメディアは消費者の購買行動に大きな影響を与えている」と語る

 「ソーシャルメディアやスマートフォンなど、コンシューマー向けITが企業に大きな影響を与えている。これらのイノベーションをいかに活用し、ビジネスの差別化要因につなげていくかが重要だ」――。

 オープニングセッションに登壇したAlcatel-Lucentでエンタープライズ事業のプレジデントを務めるトム・バーンズ氏は、こう力を込める。現在、Facebookのユーザーは約7億5000万人に上り、Twitterでの1日のツイート数が2億件を超える中、企業としてもソーシャルメディアの存在を無視するどころか、積極的に取り込んでビジネスを拡大するチャンスが到来しているという。「例えば、Alcatel-Lucentは全世界に5000人の社員がおり、それぞれが10人とソーシャルメディアでつながったとすると、合わせて5万人と一気につながることになる。このように、ソーシャルメディアを活用して大多数の消費者にアプローチすることも可能になるわけだ」とバーンズ氏は話す。

 また、スマートフォンやタブレット端末といったモバイルの爆発的な普及も世の中に多くの変化をもたらしている。ヘルプデスクサービスを提供するデンマークのZendeskが行った調査によると、2016年までにモバイルアプリのダウンロード数が440億になるほか、国際電気通信連合(ITU)の発表では、5年以内にモバイルからのWebアクセスがデスクトップPCからのWebアクセスを追い越すという。

 こうした状況の担い手となっているのが、「デジタルネイティブ」と呼ばれる世代、さらにはソーシャルメディアやモバイルに慣れ親しんだ「Generation C(Connected Collective Consumer)」と呼ばれる若者たちである。バーンズ氏は「彼らが顧客、あるいは社員となったとき、企業は彼らとコミュニケーションをいかに上手に図っていけるかが重要になってくる」と指摘する。

「コンシューマーのイノベーションが今まさに企業の扉を叩いているのだ」(バーンズ氏)

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