ニュース
» 2011年09月20日 08時00分 UPDATE

Weekly Memo:M2Mサービスは日本のお家芸になるか

機器同士がIPネットワークを介して通信し合う「M2M」の基盤を提供するクラウドサービスが注目を集めている。このサービス、日本のお家芸になる可能性もありそうだ。

[松岡功,ITmedia]

デマンドドリブン型からイベントドリブン型へ

 各種センサーやRFID(無線ICタグ)、産業用設備などの機器同士がIPネットワークを介して通信し合う「M2M(マシン・ツー・マシン)」の基盤を提供するクラウドサービスが、ここにきて大手ITベンダーから相次いで発表されている。

 こうした動きの背景には、とくに同サービスが都市のインフラやエネルギー需給を効率的に管理する「スマートシティ」の中核をなすとの期待の高まりがあるようだ。

 説明会に臨む日本オラクルの三澤智光専務執行役員 説明会に臨む日本オラクルの三澤智光専務執行役員

 そんな中、日本オラクルが9月15日にM2Mへの取り組みに関する説明会を開いたので、同社の説明をもとにM2Mクラウドサービスについて考察してみたい。

 同社の三澤智光専務執行役員はまず、「情報爆発時代に向けて情報システム形態そのものを変革していかないといけない」と指摘した。

 その核心は、これまで基本的に人が意図を持って情報を取得して意思決定を行う「デマンドドリブン型」だったアプリケーションを、状況の変化に応じて人(モノ)に情報を提供し意思決定を促す「イベントドリブン型」のアプリケーションに移行していく必要があるというものだ。M2Mはまさにその象徴的な仕組みだという。

 オラクルではM2Mを、モノ(機械)とモノ(機械)の通信により、社会インフラ的な役割を担うコンセプトと位置付け、エネルギー、交通、医療、セキュリティ、農業など、あらゆる業界がネットワークと融合することで、すべてのモノがネットワーク上に存在し、管理できる世界を実現する仕組みと捉えている。そして、その仕組みを支える基盤を「M2Mサービス・プラットフォーム」と呼んでいる。

 興味深いのは、このM2Mサービス・プラットフォームとクラウドコンピューティングのユーザーメリットにおける捉え方だ。仕組みとしてはクラウド上にM2Mサービス・プラットフォームが載る格好だが、三澤氏によると「クラウドは業務効率や柔軟性の向上、所要コストの最小化をもたらす。一方のM2Mサービス・プラットフォームは、ビジネス価値の創出や企業競争力の向上をもたらす」と、それぞれのユーザーメリットを明確に分けているという。

 M2Mクラウドサービスというと、ともすれば仕組みや中身の技術・製品の話に終始してしまいがちだが、このオラクルの説明はシンプルながら説得力があると感じた。こうした説明の仕方は、他のサービスベンダーもぜひ参考にしてもらいたいものだ。

新たなM2Mサービス創造に向けた活動へ

 では、オラクルが考えるM2Mサービス・プラットフォームとはどのようなものか。少々見づらい写真で恐縮だが、この概念図をもとに少し説明を加えておこう。

 まず、上段に記されている「情報検知・送信(センサー)」から「情報活用 アクション実行」への流れが、おおまかなサービスのライフサイクルである。

 その流れに応じて左から、Smart Device/Gateway、Fast Data Processing、Big Data Management、Business Analytic、Service Integration、Service Applications、といった6つのサービスモジュールがある。それぞれのサービスモジュール名の下に記されているのが、具体的な機能である。

 中でも、図の中央にあるM2m Service Platform Coreの枠内に記されている3つのサービスモジュールが非常に重要になってくるという。そして下段に記されているのは、こうしたサービスの流れの中で求められる要件である。

 オラクルが考えるM2Mサービス・プラットフォーム オラクルが考えるM2Mサービス・プラットフォーム

 この図もシンプルながら分かりやすいと感じたので、紹介しておく。オラクルではこれらサービスモジュールのそれぞれに適応するソリューションを備えている。詳細は他稿に委ねるが、課題を1つ挙げれば、Big Data Managementにおいて非構造化データへの対応をどうするか。構造化データに対しては、OracleデータベースおよびExadataというオラクルならではの強みを生かせるが、非構造化データへの対応はHadoopの技術も取り込んで、これから本格的に行うという。

 「オラクルは、M2Mサービス・プラットフォームのテクノロジー・イネーブラーとしての役割を果たしていく」と三澤氏は強調する。だが一方で、「これからはサービスモジュールをそれぞれにインテグレーションして実績をつくりながら、M2Mサービス市場を関連業界全体で盛り上げていくことが非常に大事」とも語る。

 そのために、日本オラクルも理事会社に名を連ねて昨年来、活動を始めているのが、任意団体の「新世代M2Mコンソーシアム」である。同団体は、IT、通信、各種機器などこの分野に関連する企業が参加し、技術面での問題解決、インタフェースの整合・統一と相互接続試験などにより、新たなM2Mサービス創造に向けた活動を行っている。

 加盟企業数は2011年9月14日時点で68社。このところ相次いでM2Mクラウドサービスを発表したNEC、富士通、NTTデータなども会員に名を連ねており、アジア各国の有力企業からの参加要請もあるという。

 三澤氏はこうした動きを踏まえて、「欧米でもM2Mサービスの具現化に向けた動きはあるが、幅広い関連企業がこれだけ集まってコンソーシアムを形成し、熱心に活動しているという点で、日本をはじめとしたアジアがこれからグローバル市場をリードしていく可能性は大いにある」と語る。

 とりわけ、各種センサーやRFIDなどは、日本企業がグローバル市場に向けて強みを発揮できる分野である。ここはひとつ、関連企業にはM2Mサービスを日本のお家芸にするくらいの意気込みで臨んでほしいものだ。

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Loading

ピックアップコンテンツ

- PR -

注目のテーマ