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» 2012年09月28日 08時00分 UPDATE

“迷探偵”ハギーのテクノロジー裏話:ゲーミフィケーション 「ポイント」は「円」に勝るのか? (1/2)

「ゲーミフィケーション」という言葉が方々で聞かれるようになってきた。これはいったいどうものだろうか――。

[萩原栄幸,ITmedia]

 最近、「ゲーミフィケーション」という言葉を目にする機会が増えた。筆者が初めてその言葉を聞いてから1年以上経過しているが、今や時代のキーワードといっても過言ではないほどの勢いである。

言葉は新しくとも中身は昔から

 「ゲーミフィケーション」という言葉の定義は、筆者がいうまでもなくネットで広く紹介されているが、一言で言えば「ゲーム的な感性をビジネスゾーンに持ち込んで生産性向上、売上増大を見込む手法」というものである。

 この考えは新しいものだろうか。実は昔からあったものである。ただ、この言葉自体がバズワードに近いものなので、明確な定義がまだ無いのはWikipediaを見るまでもないだろう。最近のニュースなどからこの言葉に近いものを探してみた。

 例えば、最近では太陽光発電などで液晶パネルに出力ワット数や売電金額表示などがされる機能がある。単純に太陽光発電装置を設置しただけなら、それだけのものでしかない。しかし、パネルを設置した利用者がゲーム感覚でどのくらいの節電し、どのくらい売電したかをグラフ化することで、今まで以上の節電効果が表れているという。これが一種の「ゲーミフィケーション」だと気が付いた人はどのくらいいただろうか。立派な「ゲーミフィケーション」である。

 さらにどんなことができるだろうか。ここからは筆者の想像だが、効果的なビジネスモデルとして考えるなら、例えば知り合い、親戚、実家などでグラフデータを共有する。すると、「ライバル意識」が生まれ、「今月は多分うちが一番だ」という競争に発展するだろう。これもいい方向かもしれない。

 また、部屋ごとにデータを算出して共有できるなら、家族同士でも(良い意味で)競争できる。兄弟なら、「兄ちゃん、今月はボクの勝ちだよ。6.7%も節電したよ」「何いってんだよ、兄ちゃんはね、先月から弁護士資格の勉強のためどうしても照明で電力消費が多くなっているんだ。それでもたったの2.9%しか増えていないよ。きめ細かく節電したボクの成果だね」――という具合だ。

 こういうレベルならいいが、データを町内、市や県レベルにまで広げるとややまずいことになるかもしれない。近所でムダに電力を使っている家がある、あの家のせいで町内の節電率が下がってしまった――と、まるで昔の悪い意味での「隣組制度」のようにもなりかねない。

「現金値引き」か「ポイント還元」か

 お店のポイントも「ゲーミフィケーション」である。ポイントが貯まると単価が変わるケースもある。通常は100円の買いもので1点がもらえ、1点=1円としてそのお店の品物が買える。ところが点数を蓄積すると換算率を上げる仕掛けのお店もある。例えば、1万点以上なら1点=1.3円とすると3割増、10万点以上で1.5円なら5割増だ。その代わりに有効期限を設けるなどお店ごとにアイデアが盛り込んでいる場合が多い。ただ、最近ではポイントシステムの共有化が進みつつあり、換算率を変化させるケースよりは、「ポイント○倍」というキャンペーンを実施する場合が多くなっている。

 どこかの電器店ではないが、「その場で現金値引き」と「ポイント○○%」は、どちらの方が顧客の受けがいいのか。周辺の「奥さん」に聞いてみた。理屈で言えば、「その場で10%の現金値引き」と「ポイント10%」なら、「現金値引き」の方が還元率は良い。ところがほぼ全員の奥さん方は「ポイント」を選択した。

 ある奥さんは、「ポイントはヘソクリと同じよ。こっそり貯めて自分のものを買うほうがいいに決まっている」といい、別の奥さんは「ポイントを貯めるってある意味それだけで楽しいのよ」と話した。買いものついでにポイントを貯まるのではなく、ポイントを貯めるために商品を買う。多少不便でも、多少高くても近所のお店よりポイントが貯まる郊外のチェーン店に行ってしまうという。

 これはまさしく人間の「業」ともいうべき性質を利用した売上向上策である。ここまで消費者心理を読んだお店側の戦術なら、それはそれでだまされてみるのも楽しいかもしれないが……。

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